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インクを使わない鮮やかな印刷技術

2019-08-11 10:34:23 | その他
大きさ1ミリの世界最小サイズの葛飾北斎の版画をフルカラーで印刷できたようです。

チョウやクジャクの羽などが光を反射して鮮やかな色彩を放つ構造を人工的に作って、インクを使わずに高画質の絵柄などを印刷する技術を開発したと、京都大学の研究グループが発表しました。

チョウやクジャクの羽やコガネムシ、熱帯魚などの表面はミクロな「多層構造」が光を反射して玉虫色の鮮やかな色彩を放ちます。これは色素による「色素色」に対して「構造色」と呼ばれています。

研究グループはこの構造色を人工的に作って印刷するという新しい技術の開発を目指して研究開発を続けました。ポリマー(高分子)は圧力を受けると亀裂が入った細かい繊維構造に変化します。

研究グループは、構造変化すると特定の色の光を反射して発色することに着目しました。そしてOM(組織化したミクロフィブリレーション)技術という特殊な方法を使い、ポリマーにさまざまな波長の光を当てるなどして多層構造を作製し、青から赤までのすべての可視光を発色させることに成功しました。

この技術はどんなものなのかわかりにくいのですが、透明なプラスチック板(例えば定規のようなもの)を繰り返し折り曲げると、曇ったような白色に変わることがその一例としています。

このように力を加えることにより、高分子が線維化し発色する(この場合は曇った白)というのが身近なイメージのようです。この方法で葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」やフェルメールの名画「真珠の首飾りの少女」を1平方ミリ程度で印刷しました。

この高分子のクレージングを調整して、フィブリルを組織的に形成させ、その形成したフィブリルで特定の色の光を反射する素材を開発しました。フィブリル層の周期を調整することによってすべての色を出すことができたわけです。

こういった最新鋭のカラーパレットが誕生することで、プリントにインクは要らなくなると期待されます。インク無しで形成される自然界の構造色は、今回と同じ原理で発色しており、それをMO技術により人工的に再現できたことになります。

この技術は模造しにくい紙幣の印刷といった特殊な印刷のほか、今後の技術の進展により医療などの幅広い分野で多様な応用が期待できるとしています。

この技術により構造色を作りだすことは何となくわかったような気がしますが、それをどう印刷に使うかはあまりイメージできていません。何となくインクを使うよりははるかに高価な印刷になりそうですが、新しい印刷技術としては面白いのかもしれません。


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