ごっとさんのブログ

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ウコンは本当に効かないのか

2017-02-05 10:39:33 | 化学
「ウコンは効かない」というニュースが今話題になっているようです。

この記事はこの論文についてのかなり詳しい検証しているもので、ウコンの成分のクルクミンについて研究結果をまとめた形となっています。

このブログでもほぼ1年前にクルクミンを取り上げ、構造式は美しい形をしているが、たぶん腸管吸収は悪そうなので、飲んでも(食べても)あまり効果はないだろうということを書きました。

筆者はまずこの論文がウコンの効果を調べたものではなく、その主成分であるクルクミンの効果を調べたものだと強調しています。

こういった植物成分だけでなく、天然の物質を化学的に検証するためには、対象物を溶解させるということが必須となります。特に植物の場合は、大部分がセルロースやリグニンといったほとんど溶けない物質からできていますので、どうしてもその主成分を調べるか、またはなにかで抽出(熱水やアルコール類)したものを使うことになります。

ですからこの論文もクルクミンを調べるのは当然と言えます。このクルクミンというのは、様々な病をいやす万能薬と考えられていたということですが、もともとそれほどの薬効があったとは思えません。

実際に試験管内で培養した細胞にクルクミンを加えてみると、ガン細胞の成長を抑えたり、アルツハイマー病の原因とされている物質の毒性を妨げたりするような効果が出たようです。ところが実際に人間にクルクミンを摂取してもらうと、実験で出たような効果がなかなか出ないということが分かってきたようです。

例えばアルツハイマー病への効果を調べるために、平均年齢74歳の高齢者におよそ半年間、クルクミンを大量に摂取してもらう研究が行われました。結果的にはクルクミンを含まない偽薬を飲んだ人と認知機能テストの点数などを比較しても、効果は出なかったようです。

この理由としてまずクルクミンが体に吸収されにくいことを挙げています。いまさら何を言っているかという気がしますが、通常はどのくらい飲ませると血中にどの程度出るかを調べるのが普通です。そういうこともせずにいきなり飲ませるということは、科学的実験とは言えないような気がします。

もう一つがクルクミンは見せかけの効果が出やすいとしています。クルクミンのような一種のポリフェノールと反応性の高い二重結合を持っていると、色々な試薬と反応しやすいのは当然です。ですから試験管内でのテストでは、高い効果があるような結果が出やすいとしています。

結局この記事の筆者は、あくまでもクルクミンについて調べたものであり、ウコンの効果が否定されたわけではないとしていますが、やはりウコンにはプラセボ効果程度しか期待できないような気もします。