ごっとさんのブログ

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異種動物間で移植 治療に成功

2017-02-04 10:41:16 | 健康・医療
マウスのiPS細胞などから膵臓をラットの体内で作り、その組織を糖尿病のマウスに移植して、治療に成功したことを東京大学医科学研究所の研究グループが発表しました。

こういった異なる種の動物の体内で作った臓器を移植し、病気の治療効果を確認したのは世界初めてのようです。

iPS細胞などの幹細胞研究は、ここ2,3年で大きく進歩しています。このブログでも、最近網膜細胞などの作製に成功したということを書きましたが、比較的単純な組織細胞を作るということと、機能を果たす臓器に誘導するということはまだ大きな隔たりがあり、人工的には難しいようです。

つまり脈動する心筋細胞は作れるのですが、心臓そのものを作ることはできないわけです。したがって現在でも臓器を作るためには、自然の生殖機能を使う方法が取られているわけです。

研究グループは、遺伝子操作で膵臓ができないようにしたラットの受精卵に、マウスのiPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を注入し、ラットの子宮に戻しました。その結果誕生したラットの膵臓はマウスの物で、一般的なマウスの膵臓の10倍ほどの大きさに育ったとしています。

この記事ではこのあたりの詳細はよく分かりませんが、マウスの細胞を注入すると本来作れないはずの膵臓がなぜできて来るのか、そこには何らかの操作があったのか、あるいは自然の偶然性に任したのかなど色々疑問もあります。この辺りの生殖細胞の分化という点は、まだ謎だらけなのかもしれません。

研究グループは、ラットで育った膵臓から血糖値を下げるインスリンを分泌する膵島を取り出し、糖尿病を発症させたマウスに移植したところ、20日後には血糖値が正常になったとしています。この血糖値はその後1年正常値が維持され、ガン化などの異常は確認されていません。

拒絶反応を抑える薬は、移植後5日間投与しただけで、その後は必要なかったようです。このラットの体内で育った膵島を調べたところ、血管にラットとマウスの細胞が混じっていたようです。しかしマウスに膵島を移植して約1年後に、移植部位を調べたところ、ラット由来の細胞は無くなっていました。

これはラット由来の細胞は、免疫反応によって排除されマウスの細胞のみとなったと考えられています。

このように異なった種で臓器を作らせ、それが移植できるのであれば、例えばヒトの臓器をブタで作らせるといったことも可能であり、本当の意味での再生医療の道が開けたような気もします。この研究グループも人間に近いサルでのヒトの臓器の作製を試みたいとしています。