ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
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抗がん剤の価格が高騰

2016-04-13 10:12:30 | 
最近のネットニュースで、抗がん剤価格が急騰していることが話題になっています。

これは世界的な傾向をまとめたものですので、特殊な薬価制度を取っている日本では、ここまで高くないかもしれません。例えばアメリカで2014年では月額が1万ドル(約110万円)まで上がり、2000年前後の5倍まで急騰しているようです。この傾向は新薬である免疫の仕組みを利用した抗体医薬が非常に高額になり、この傾向に拍車をかけているようです。

日本の場合は肺ガンについての調査結果が出ていましたが、やはり新薬が高額になっています。昔から使用されている、細胞の増殖を抑えて死滅させる、いわゆる細胞毒性薬はシスプラチンがあげられていましたが、ほとんど月額10万円以下だったようです。しかし分子標的薬と呼ばれる一連の薬、例えばイレッサが出てきてからは、数十万円に上がったようです。

この分子標的薬というのは、ガン細胞中の標的となる受容体が、正常細胞とはやや性質が異なることを利用し、ガン細胞への選択制を増した、つまり副作用を抑えた薬ということになっています。副作用が少ない抗がん剤はありがたいのですが、この分子標的薬はかなり高額となり、最近2,3年は月額70万~80万になっているようです。

さらに2015年には抗体医薬であるオプジーボが保険適用になり、このタイプの薬剤は月額300万円にもなるようです。しかし日本は高額医療制度があり、収入や所帯によっても違いますが、月額35,000円~25万円が上限となっています。ですから外国に比較すると、抗がん価格が上昇したといっても、日本は患者の負担はそれほど増えません。

この背景は、新薬の開発費が非常に高くなったこともあるようです。日本の場合は、臨床試験で対照になったがん以外はなかなか適用になりません。そのため最近の分子標的薬や抗体医薬などは、患者さんの数が少ないため、よけい研究開発費が嵩み、成功の確率も下がっているようです。

国の医療費が年々増加していくという問題は、このブログでも取り上げましたが、こういったものにも抗がん剤の価格上昇が影響しているのかもしれません。しかしがんを副作用なく直す薬の開発は、続けなくてはいけない課題です。

国民が平等に医療を受けられるようにというのが、現在の保険制度の基本ですが、そろそろお金のある人には、かなり高額でも負担してもらうといった制度改革も必要なような気もします。