稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

No.86(昭和62年9月5日)

2019年12月04日 | 長井長正範士の遺文


○№85に小川忠太郎先生のお話を書きましたが、その席上、引き続いて小城満
睦先生と堀口清先生が仰いましたことを次に、

○小城先生「私はもう90歳にもなりましたので、閻魔さんに聞いたら、そのう
ちに迎えにくるからもう少し待てと言われた」と諧謔(かいぎゃく)味ある言
葉で淡々として話された。さすが。

○堀口先生「斉村先生は剣は心なり。と言われました。皆さんは正しい剣道の
理念を確立して貰いたい。乗って、破って隙に乗ず、これが大切。しっかりや
って下さい」と話され、私ども同窓は、お三方の先生のお話を心に銘じ、これ
からも尚一層精進してゆく事を誓い、あと宴会に入りました。

○尚、小川忠太郎先生のお説、その後お話のあった事など、私は私なりに箇条
書きにしておいたのを次に書きとめておきます。

1)構えが出来ていること。構えで気を抜いていると正しい構えが崩れる。
  この正しい構えは形から。
2)剣道に大事なのは気と間である。ここから技が生まれてくる。
3)剣道の不動心は日常生活で言えば至誠である。即ち真心である。
  不動心は動かない心ではない事。磐石の精神は不可。
4)古流の形が大切である。形から修行していくと、やる事に無駄がない。
  上達が早い。形で練って、剣道の稽古は応用と考える事。
5)正しい切り返しを行うこと。
6)相手に負けまいという気があると右手が堅くなる。
  負けまいと思うと相手と対立になる。この気持ちを足腰の下におろす。
7)一足一刀から剣道と思っているが、そうではない。
  もっと遠くの方から剣道である。
8)刃筋を立てること=人間の正しさを表現すること。
9)石田和外、元会長は「世の中は剣道だ」と言われた。
10)切り返しの最後の正面打ちをしっかり打つ。これが又、技のもとになる。
11)三角矩=剣先と目と腹のこと。
12)相手の身体めがけて打っていくから、みんな障害物に当たる。
  身体じゃない。剣先である。剣先の先に眼がつく。
  相手がわかるということは、相手の剣先がわかるということである。
13)首切り浅右ェ門は、鼠小僧次郎吉の首を斬る時、小僧が「お願いします」
  といったひとことで斬れなかった。三度めにやっと切れたという話を聞い
  て、山岡鉄舟は感心したそうである。情が入るとかくの如し。
  ついでに申し上げると吉田誠宏先生に聞いた話ですが、芸妓「花鳥」が
  「浅右ェ門さまですか本望です」と言ったので、この時も一回二回と失敗
  し三度目にやっと斬れたという話。
14)たたかれて感謝する。こうでなければならない。
15)切り返しで気剣体一致が大切、これには呼吸が下がっていなければならない。
16)間の手本が一刀流である。

以上、小川忠太郎先生のお話ですが一応これで終っておきます。
また折にふれ書かしていただきます。

さて、次の№87からは吉田誠宏先生から聞いた話やご指導頂いたことなど申し上げます。
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