稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

剣道の切り返しにおいての体当たりについて。

2020年07月05日 | 剣道・剣術

(「腰を中心にした体当たり」の写真はあるが、説明の箇条書きに体当たりは書いていない)

先日の事だが、初心者に指導している剣友から
「切り返しの体当たりについて教えてください」と質問があった。

彼が言うに、切り返し時に体当たりをするよう教えると、他所で指導を受けている者から
「切り返しで体当たりはしないようにと教わりました」と言われたのだそうな。

今から半世紀も前の、私が高校生(生駒高等学校剣道部)の時、
切返しは面に打ち込み、思いっきり体当たりして元立ちを後ろに弾き飛ばせと教えられた。
弾き飛ばして元立ちを下がらせ、その面を左右に打って切り返しを続けろというわけだ。

軽く体当たりでもしようものなら
「なんだそれは!そんな勢いでは体当たりにはならん!相手をふっ飛ばしてしまえ!」と叱られた。
同時に元立ちも「そんな軽い体当たりで後ろに下がるな!」と竹刀で叩かれたものだった。

当時はそれが当たり前だと思っていた。
正しく大きく伸び伸びと・・ではなく、勢いよく強く力任せに・・みたいな切り返しを教わった。

今から思えば随分と乱暴な指導方法で(初心者指導としては)大間違いも良いとこなのだが、
ぶつかり時の強弱はあっても、当時はどこに行っても切り返しには体当たりがあったと記憶している。

いつの頃に変ったのかは知らないが、今は「相手の練度に合わせて体当たりを入れる」となっている。
つまりは「切り返しの時、基本的に体当たりはしない」ということになるのだ。

確かに体格の違う者同士は危険だし、初心者同士の場合も力加減がわからず、
怪我防止の観点から体当たりは止めた方が無難だろう。

全日本剣道連盟の「剣道指導要領 平成25年6月1日版」の68頁には、
(前略)初心者・初級者の段階においては、ゆっくりと大きく正確に、伸び伸びと行うことが望ましいが、
錬度に合わせて「体当たり」を入れるなどの工夫により、さらに高い効果を期待することができる。(後略)とある。

で、剣友の質問への返事(ちょっと加筆訂正しました)は、
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体当たりは体勢が崩れないことが大事で、
懸かり手も腰から体当たりが出来るよう、受け手も腰で支えられるようにしなければなりません。
まずは体当たりだけの稽古をして、体当たりに慣れる必要があるでしょう。

切り返しの中に体当たりを入れる場合は、「きょうの切り返しは体当たりを入れる」と宣言して指導をしたら良いでしょうね。
初心者には事前に体当たりだけの稽古をしておきましょう。
腰からの体当たりが出来るようになって体勢が崩れなくなったら切り返しに体当たりを入れましょう。

切り返し時の体当たりは、原則として受け手に合わせることです。
受け手が体当たりOKのタイプならドンとぶつかっていって構いません。
つまり練度が上がれば、お互いに、瞬間的に相手に合わせられるようにすることが大事だということです。
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切返しに限らず、半世紀以上も剣道稽古をしていると、昔と考えや解釈が異なることも出てくる。
たまには指導法講習会に出て学ぶことも大事だし、少しでも変だと思ったら、
全日本剣道連盟の「剣道指導要領」を読み直さなければならないと思った次第。

「あの先生、言う事変だよなあ~」と思われたら指導者失格です。
「俺は昔、こう習ったんだ」は通用しないのです。特に私より年配の先生方、気をつけてください。

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