渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

面磨り 〜砥石〜

2021年02月13日 | open

平砥石は平砥石と書く程で、砥石の研ぎ面
がビタリと全面平面が出ていないと平砥石
として使えない。

研ぐと砥石は減る。刃物も減るが砥石も
減る。刃物を濡れ砥石で押すと、砥石の
微細な粉と水分とが合わさり研磨剤とな
り刃物を削り、さらに刃物から出た削り
粉が砥石汁と混ざってさらなる研磨力を
持つ「研ぎ汁」となる。
力で研ぐのではない。科学的な原理で金属
は砥石によって研がれるのである。
さらに天然砥石は研ぎ汁が化学変化を誘発
して鋼に変化をもたらす。その特性を知悉
して、炭素鋼の場合には熱変態による素顔
景色を引き出したり、伏せたりする事が
可能となる。これは天然砥石でないと科学
的に不可能だ。
成形や整形をしたり、ただ切れるように
研ぐだけならば天然砥石は必要ない。
しかし、炭素鋼の素顔が描く刀身の景色を
引きすには、天然砥石以外には不能だ。

天然砥石で研磨するから、このような鉄
の素顔、本当の姿を肉眼で見えるように
することができる。これは低炭素鋼であ
ろうと、高炭素鋼であろうと、研ぎのやり
方次第で出せる。
(私の研ぎ)


平砥石の場合は、平面を出す。
研磨の前や途中やあとに砥石を別の砥石
研磨用道具を使って研いで平面を出す。
それを面磨りと呼ぶ。


直線が出た定規等を使って計測し、コンマ
ミリたりとてゆがみやへこみがないように
平面を手作業で出す。
この作業はかなり時間がかかるが、これ
をやらずば、研ぎなどは出来ない。
水も漏らさぬようなピシッとした平面を
出してこそ正確な刃物研ぎは可能になる。


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