東京の撞球人の友人にかなりの
打(ぶ)ち手がいる。
練達者は誰もそうらしいが、相
手の眼の動きを読み取る。
私などのヘボ麻雀はてめえの牌
の目しか見ていない(笑
よく行く雀荘はサングラス禁止
のルールだったらしい。
だが、ある時、帽子を目深に被
った相手がいて、室内なので脱
帽するように言うと、それは店
のルールには無いからと被り物
は取らなかったらしい。
眼の動きが隠れて全く見えなか
ったという。
サングラス禁止は、多分反射し
てジャン牌が映るからではなか
ろうか。
組まれたらイカサマができてし
まうから。
地元の麻雀仲間では、Sという
男がこれまでで一番強かった。
まるで『哭きの竜』のような打
ち方をする。
「あんた、背中が透けてるぜ」
というような渋い麻雀を打って
いた。風貌や感じは映画『道頓
堀川』のマサオに似ている(笑
仕事は出来る奴だった。
仕事の取引先の人間だったが、
個人的にもとても懇意となった。
バイク乗りで撞球人。フライ
フィッシングも一緒に行った。
今はちょいとした有名上場企業
のお偉いさんになっている。
バイク、玉撞き、フライと重なっ
た仕事関係の人は彼だけだった。
玉撞く仕事関係の人は結構多い。
バイクのみも多い。
だが、バイク、玉撞き、フライ
という三拍子は彼だけだった。
人生の中で意外と少ない。
ピンクドラゴンの髙橋誠一郎
店長は、バイク、玉撞き、フライ
フィッシング、日本刀、抜刀斬術、
GUN、刃物、料理、音楽、映画
マニアと全てで重なっている(笑
ここまで重なる人は人生の中で
いない。
音楽での嗜好性も深く重なる。
誠一郎店長もそれらの重なり度
数に笑っていた。
話が合わない筈がない。
あと、違うのは人かな。
髙橋誠一郎さんは、人が出来た
人だ。いわゆる「人物」である。
いい男の手本、みたいな。