『ウインディー』、『チャン
ピオン・ライダー』に続く三
部作のエピローグともいえる
『ラスト・ラップ』を読む。
すでにアンナの父であるGPラ
イダーの杉本敬はいない。
アンナとサムは出てくる。
主人公はケイがまだ生きてい
た時にケイ、アンナとも会っ
ていた若きライダー北山洋
(ひろし)だ。
全日本チャンピオンで1984年
にグランプリにやってきた。
物語の舞台となる1985年は洋
はヤマハワークスの地位を捨
てて、プライベーターで世界
GPにフル参戦だ。
あとがきで片山敬済さんの
1987年2月時点での名前が出
てくる。
色々なことにトライしていた
頃で、名前の文字を変えてい
た時期だろう。
この『ラスト・ラップ』は、
全日本500cc連続チャンピオ
ンだったヤマハワークスの
平忠彦選手が1986年代に世界
GP250ccにヤマハからフル参
戦した翌年に出版された。
平選手がサンマリノGPで優勝
したすぐあとである。
『ウインディー』の物語はこ
の作品で終わる。
だが、原点は『ウインディー』
だ。
9歳のアンナが愛しい。
角川ノベルズ初版本には映画
のアンナとケイとサムが写っ
ている。
原作でのサムは世界唯一の黒人
アメリカンGPライダーだ。
84年にはGPを走りながら杉本
敬のメカニックもやる。
ここいらはやや非現実的だ。
黒人アメリカンのグランプリ
ライダーは水泳と同じく存在
しない。オバマ氏が大統領に
なるなどということは到底考
えられなかった時代が1980年
代だった。だが、黒人差別は
現在も続いている。
モータースポーツで黒人はい
ない。スポンサーがつかない
事と、イギリス、フランス、
アメリカのアフリカから奴隷
として連行された人々を祖先
に持つアフリカ系の人々には
モータースポーツという白人
ない。スポンサーがつかない
事と、イギリス、フランス、
アメリカのアフリカから奴隷
として連行された人々を祖先
に持つアフリカ系の人々には
モータースポーツという白人
企業がバックアップする環境
にはいないからだ。
これは現在も続いている。
水泳などはアマチュアリズム
の種目であっても、もっとひ
どい。白人たちが黒人と同じ
水に浸かりたくないという理
由で、黒人水泳選手が育つ環
境が保障されていないのであ
る。
小節『ウインディー』は一つ
の挑戦と希望の表現として黒人
アメリカンのサムを主要な人物
として作者泉優二氏は登場させ
た。まるで、ウィル・スミスの
素のキャラのような性格のナイ
スガイとして。
にはいないからだ。
これは現在も続いている。
水泳などはアマチュアリズム
の種目であっても、もっとひ
どい。白人たちが黒人と同じ
水に浸かりたくないという理
由で、黒人水泳選手が育つ環
境が保障されていないのであ
る。
小節『ウインディー』は一つ
の挑戦と希望の表現として黒人
アメリカンのサムを主要な人物
として作者泉優二氏は登場させ
た。まるで、ウィル・スミスの
素のキャラのような性格のナイ
スガイとして。
ただ、容姿はイケメン英国人の
イドリス・エルバのような風貌
で描かれている。性格はまるっ
きりウィル・スミスなんだけど
イドリス・エルバのような風貌
で描かれている。性格はまるっ
きりウィル・スミスなんだけど
ね(笑)。
ウィル・スミス
映画『ウインディー』でサム
ウィル・スミス
映画『ウインディー』でサム
がサマンサ=サムとして女性
で描かれたのは、海外公開の
際にあまりに非現実的だから
だろう。
で描かれたのは、海外公開の
際にあまりに非現実的だから
だろう。
まして人種問題は国際的には
センシティブな問題だ。国際
社会で女性が躍進し始めた頃
の1980年前半、サムを女性と
する製作方針になったのだろう。
イギリスのサッチャー首相を
はじめ、女性がやっと社会進
出できるようになってきたの
が80年代だった。
当時まだ黒人が映画の主人公
になるなどというのは考えら
れなかった。まして黒人のア
メリカ合衆国大統領などは夢
のまた夢だったのだ。
アメリカ合衆国は、1964年に
初めて黒人女性が大学に進学
した。
しかし、白人たちは、まるで
動物園のチンパンジーが人間
社会に迷い込んだかのように
嘲笑しイジメまくった。これ、
事実。
その女子学生は傷つき、大学
を中退した。
アメリカ社会では、1960年代
は、まだ黒人は労働力として
白人社会を支える使い捨ての
最底辺の対象生物と見なされ
ていたのである。これまた事実。
それは、つい30年ほど前まで
続いていたのだ。
アメリカングラフティで黒人
高校生がダンスするかい?
黒人は高校に進学することさ
えまれだった。皆無ではない
にしろ、ごく一部だった。大
学進学などは1960年代に入っ
てからだ。
だが、黒人たちは真っ先に徴
兵で前線に飛ばされた。
このあたりはベトナム戦争を
描いた映画『プラトーン』(1986)
でも克明に描かれている。
また、女性に対する差別もア
メリカは「先進国」だった。
基本的にアメリカ合衆国は、
ジャイアンだ。その典型的な
アメリカンがドナルド・トラ
ンプである。
トランプとは、切り札のカー
ドではなく、単なるババで
ガチではなかろうかと私は
センシティブな問題だ。国際
社会で女性が躍進し始めた頃
の1980年前半、サムを女性と
する製作方針になったのだろう。
イギリスのサッチャー首相を
はじめ、女性がやっと社会進
出できるようになってきたの
が80年代だった。
当時まだ黒人が映画の主人公
になるなどというのは考えら
れなかった。まして黒人のア
メリカ合衆国大統領などは夢
のまた夢だったのだ。
アメリカ合衆国は、1964年に
初めて黒人女性が大学に進学
した。
しかし、白人たちは、まるで
動物園のチンパンジーが人間
社会に迷い込んだかのように
嘲笑しイジメまくった。これ、
事実。
その女子学生は傷つき、大学
を中退した。
アメリカ社会では、1960年代
は、まだ黒人は労働力として
白人社会を支える使い捨ての
最底辺の対象生物と見なされ
ていたのである。これまた事実。
それは、つい30年ほど前まで
続いていたのだ。
アメリカングラフティで黒人
高校生がダンスするかい?
黒人は高校に進学することさ
えまれだった。皆無ではない
にしろ、ごく一部だった。大
学進学などは1960年代に入っ
てからだ。
だが、黒人たちは真っ先に徴
兵で前線に飛ばされた。
このあたりはベトナム戦争を
描いた映画『プラトーン』(1986)
でも克明に描かれている。
また、女性に対する差別もア
メリカは「先進国」だった。
基本的にアメリカ合衆国は、
ジャイアンだ。その典型的な
アメリカンがドナルド・トラ
ンプである。
トランプとは、切り札のカー
ドではなく、単なるババで
ガチではなかろうかと私は
思うが、あんなのを選ぶア
メリカ合衆国の「民度」自体
もたかが知れている。
でも、もしかすると、その
うち、ウィル・スミスが大
統領になるかもよ(笑)。
メリカ合衆国の「民度」自体
もたかが知れている。
でも、もしかすると、その
うち、ウィル・スミスが大
統領になるかもよ(笑)。
いやまじで。
映画『ウインディー』(1984)
でのサムは、原作小説での杉
本敬の恋人マシーナとアンナ
の母のフランソワーズを合体
させたキャラとして登場して
いる。
ただ、映画作品のほうは、全
てのキャスト選出がドンピシャ
であり、作品のイメージと完全
合致している。これはとても素
晴らしい。
そして、俳優陣がかなり演技が
上手いのだ。
アンナ役のクリスなどは、もう
アンナは子役のクリスと同一人
物だとしか思えないほどである
ばかりか、クリス・アディソン
という子役の才能が素晴ら
しい。
映画『ウインディー』(1984)
でのサムは、原作小説での杉
本敬の恋人マシーナとアンナ
の母のフランソワーズを合体
させたキャラとして登場して
いる。
ただ、映画作品のほうは、全
てのキャスト選出がドンピシャ
であり、作品のイメージと完全
合致している。これはとても素
晴らしい。
そして、俳優陣がかなり演技が
上手いのだ。
アンナ役のクリスなどは、もう
アンナは子役のクリスと同一人
物だとしか思えないほどである
ばかりか、クリス・アディソン
という子役の才能が素晴ら
しい。
ただ、クリスは日本のアイドル
全盛期80年代に日本式アイドル
商品化されて潰された感が強い。
あの子は、それなりの環境だっ
たら、テイタム・オニールを超
えていただろうと思う。
『ウインディー』では11才にし
て名女優ぶりをあますとこなく
見せていた。
サムを演じた女優のレスリー・
モルトンは、見方によっては
「ウィリアム・デフォーか?」
とも見える時もあるが、なかな
か良い(笑)。
それにしてもクリスだ。これは
アンナそのものだ。
このキャスティングには、原作
者の泉さんも満足しているだろ
うか。
映画『ウインディー』は残念
ながらDVD化されていない。
クリス・アディソンは映画テ
ロップには氏名がきちんと出
るが、日本でのリリースでは
「クリス」とだけ公表された。
これは実は名前だけの芸能人
の嚆矢である。名前だけの女
優は過去にも亜子などいるに
はいたが、このクリスから
一般的に広まった。
全盛期80年代に日本式アイドル
商品化されて潰された感が強い。
あの子は、それなりの環境だっ
たら、テイタム・オニールを超
えていただろうと思う。
『ウインディー』では11才にし
て名女優ぶりをあますとこなく
見せていた。
サムを演じた女優のレスリー・
モルトンは、見方によっては
「ウィリアム・デフォーか?」
とも見える時もあるが、なかな
か良い(笑)。
それにしてもクリスだ。これは
アンナそのものだ。
このキャスティングには、原作
者の泉さんも満足しているだろ
うか。
映画『ウインディー』は残念
ながらDVD化されていない。
クリス・アディソンは映画テ
ロップには氏名がきちんと出
るが、日本でのリリースでは
「クリス」とだけ公表された。
これは実は名前だけの芸能人
の嚆矢である。名前だけの女
優は過去にも亜子などいるに
はいたが、このクリスから
一般的に広まった。
今や日本の女優やタレントは
名前だけの人たちだらけだ。
増えすぎてインパクトは低い。
だが、はじまりはクリスだっ
た。
埋もれてしまったが、それは、
もっと光を当ててよいと私は
思う。
クリス本人は日本の芸能界で
食い物にされ、真木蔵人に妊
娠させられ、父マイク真木に
結婚どころかつきあいさえも
猛反対されただけでなく真木
蔵人自身にも遺棄されるよう
に捨てられたが、一人で子を
産んで育てた。
今、クリスの息子は成人し、
ラッパーとして表現者になっ
ている。
クリス・アディソン。
永遠の輝く鏡の中のアンナだ。
埋もれた名女優。
名前だけの人たちだらけだ。
増えすぎてインパクトは低い。
だが、はじまりはクリスだっ
た。
埋もれてしまったが、それは、
もっと光を当ててよいと私は
思う。
クリス本人は日本の芸能界で
食い物にされ、真木蔵人に妊
娠させられ、父マイク真木に
結婚どころかつきあいさえも
猛反対されただけでなく真木
蔵人自身にも遺棄されるよう
に捨てられたが、一人で子を
産んで育てた。
今、クリスの息子は成人し、
ラッパーとして表現者になっ
ている。
クリス・アディソン。
永遠の輝く鏡の中のアンナだ。
埋もれた名女優。