渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

刃物の形状から来る感想

2021年01月12日 | open


アウトドアに通じた二輪乗りの男が友人
にいる。
しかし、どうもこれまでの「ブッシュ
クラフトナイフ」にはピンと来なかった
らしい。

ある時、私もその友人も、発売された
ばかりのユニフレームのUFブッシュクラ
フトナイフを購入した。
人気爆発で在庫切れになる前にかろうじ
てタッチセーフで入手できた。

私が各種ナイフとの比較試験での様々な
切り試しをした結果内容を仲間内にのみ
開示した。
その時、彼は自分の中でどうもスッキリ
しなかったものがハッキリしたようだ。
それは、ナイフが持つ「刺突性」だ。
これまでのブッシュクラフトナイフと称
されたナイフは、フクラ部分が丸過ぎて
切先(鋒ではなく先の尖りポイント)の
刺突性が著しく低かったのだ。
例えば、肉に刀身を刺した場合、スーッと
抵抗なく鍔元まで突き通す日本刀のよう
に、ナイフであっても刺突した際には、
抵抗なく突き抜けるような性能を彼は求め
ていたのだ。
刃物としてのナイフに求める要件として、
彼が求めるその刺突性は私も全く同じ感を
持っている。

ブッシュクラフトナイフ、あるいはその
用途で作られたナイフは、まるでハンティ
ングで皮剥ぎをするスキナーのようにフク
ラが丸く、ポイントが鋭くない作りとなっ
ているものばかりだった。
スキニングするのにポイントで皮を傷つけ
ないためだ。
ブッシュクラフトナイフと呼ばれた物は、
ハンターナイフから派生しているので、
ポイントがドロップポイントになっていた
り、切先が鋭くない物が多い。
一方、北欧ナイフは、ブッシュクラフト
ナイフとしてではなく、「北欧ナイフを
使って野外生活活動するのがブッシュクラ
フト」という本筋のものなので、発想が
逆なのだ。
しかし、その北欧の発想こそが、本来の
ブッシュクラフトとしての活動に有利に
働くナイフ作りの発想でもある。
槍やスパイクのようなブレード全体での
尖りは不必要だが、切先が刺さらない事
には工作もできない。

刃物の発達史としては、刃物は用途に応
じて形状が絞り込まれて専用刃物として
分化して来た。
しかし、これまでのブッシュクラフト
ナイフとして喧伝されてきたアメリカン
ナイフは、ハンターナイフの派生ゆえか、
刺突性において北欧ナイフに比べて著し
く劣っていたのが事実なのだ。

国産初のブッシュクラフトナイフである
UFブッシュクラフトナイフは、フルタン
グ構造で、かつドロップポイントながら
そのあたりの刺突性もクリアしている。
木の切り株や蒲鉾板に同じ力で刺してみ
ると即座に判る。
他のナイフとの違いが。

あくまでこれは個人的な好みの問題だが、
汎用ナイフでありながら刺突性がオミット
されたナイフは、欠缺とまでは言わない
が、ある要素において弱点を持っていると
指摘することは間違いではないだろう。

UFブッシュクラフトナイフ。
金額ではない。
現在、国産ナイフでは、総合力ではダン
トツの野営適応条件を備えたナイフだ。
こういうナイフを野営人は待ち望んでい
た。


肉にスーッと吸い込まれるように刺さら
ないとね。
ダガーは戦闘でのそれ用に特化したナイフ
だが、戦闘用ではなくとも、ナイフは抵抗
なく刺さらないと機能面では一歩遅れると
いう事は否めない。


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