横浜の同門の刀術仲間の愛用ナイフだ。
モキのフォールダー。
京都を離れる時に餞別にと医師から貰った
物らしい。
これを選ぶ医者もいけてる。
モキのフォールディングは世界最高の作動
性を見せるからだ。
そして、モキナイフはファンシーな要素も
入っていて、無骨なガーバーやサカイとは
方向性の趣きがやや異なる。
どちらかというと、カスタム作家で例える
ならば、ジェス・ホーンやジャック・ラッ
セルのような雰囲気を持っている。
友人とナイフ談義を早朝からやっていて
盛り上がる。
彼はバイクにも乗りマス釣りもやる人だ
が、日本刀もナイフも好きだ。あと実銃
射撃もやるが、そちらは今はもう納めた。
ナイフの話で、MOKIさんのナイフは品が
あるよねー、という話題になった。
彼のMOKIは頂き物だが、愛用している
らしい。
研ぎの時に少し蹴ってしまい、ミラーフィ
ニッシュのブレードに多少砥石目が付いて
しまったと嘆いていたが、それも味。
いずれ、それも用の美となるさ。
品の良さを醸し出してる要素にケーパーで
あることがあるのでは、という話になっ
た。それはあるかも知れない。
おフランスのラギオール、ライヨールは
本家争いで揉めたりもしたけど、作るナイ
フは細身のケーパーでとても上品だ。
ただ、アメリカンナイフでも、ケーパーは
背中の贅肉をスッと落とすシルエットが
やはり上品さをさりげなく出しているよう
に思える。
ケーパーって、スマート感を出すなあ、と
思う。
私のケーパー。
自主研ぎでミラーにした。
フラットグラインドだ。
これも四半世紀前の剣友の先輩からの
頂き物だ。正確には現在の所有者は私の
娘になる。幼稚園の時に刃物の使い方を
教え、小学生の時に自分のナイフを欲し
がったので、先輩からのこれを託した。
学生の時には東京にはこれと自分の日本
刀(刀工康宏が出産祝いに作ってくれた
嫁入り短刀)は持って行かなかったが、
代わりによく切れる燕三条の包丁を2本
渡した。
このケーパーはフィクスドナイフでファン
シーモデルではないアウトドア用だが、
ブレードシルエットは垢抜けたセンスで
まとめられていると思う。
ブローニングだ。
ただし、日本メーカーのOEMで服部刃物
が製作した。
モキは銃器メーカーならばベレッタの製品
をOEM生産していた。
日本製ナイフは非常に加工精度が高いの
で、一時期、アメリカンナイフメーカーの
多くが日本の刃物製造会社にOEMを委託
していた。
今は人件費の関係から中国に移っている。
ナイフの品質は著しく下がった。
バックのナイフの製造を担当している司
などは目も当てられないような雑な作り
をしている。
しかし、飛び抜けて良い作りをする中国
の製造部門もあり、ブローニングのナイフ
を担当している部署の製品は、まるで日本
で製造したのかと思う程の完成度を見せて
いる。これで人件費が破格だとしたら、
到底日本は太刀打ちできない。
現在、先進資本主義国は、あらゆる分野の
製品の製造を中国に求めている。
また、中国以外でもタイ、ベトナム等に
生産地を置く方向にしている。
全ては人件費。製造コストの問題だ。
安い人件費で製造し、利潤を得る為だ。
ある意味、経済的侵略行為なのだが、
資本主義の論理は搾取のうえに成り立つ
ので、これは延々と続く。
地球連邦ができて、地球全体が一つの国
となったらどうすんのかね?
そうならない為に、資本を独占できる
一部の人間たちは世界平和を阻害している
のだろうけどさ。マネーを牛耳る金融資本
が。マネーはあってもマナーは無いよな。
資本の論理はえげつない。
私は偏頗な国粋主義者ではないが、日本
製品というのは本当に上質だと思う。
そして、日本のファクトリーナイフが良い
なと思うのは、自動車産業のようにオート
メーション化された大工場での大量生産
ではない職人さんの小工場のような規模の
日本の刃物会社がアメリカの有名ブランド
のナイフを製造していたことね。
これはなんだか日本的で私個人は嬉しい。
現実は、そこに資本の論理が入るから、
アメリカ企業は軒並み中国へと発注先を
変えたので、今日本の刃物業界は溺死寸前
なんだけどさ。
でも、本当に日本のナイフは質が良い。
包丁は日本製がまだ圧倒的に世界をリード
しているが、洋式ナイフは日本固有の物
ではなかったので、パッと発注が途絶える
と非常に厳しい。
ナイフの殆どが日本の岐阜県の関で製造
されていたが、今、日本の刃物産業は風前
の灯状態で、特に関のダメージが多い。
中国製ナイフも安くて良い物あるけど、
可能ならば、できる限り日本製の関の
ナイフを買ってよ。
モキさんやサカイさんや石川刃物さんや
ハットリさんや、その他多くの関の刃物、
日本製の刃物を。
物はいいよ〜。
物は良いし、内需拡大にもなる。
作るほうも売るほうも買うほうもみーんな
が笑顔になる。
これがええがぜよ。
日本製のナイフに日本製のシース。
そして日本製の時計。
ジャパンアズベスト。