渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

外側ステンレス・内側青紙挟み込みの利器材の実態

2021年12月16日 | open

ステンレスで特殊鋼(準炭素鋼)を
挟み込みした利器材を使って作ら
れた「高級包丁」。

鋼部分がすぐに朽ち果てる。


沈金錆という悪性の錆をすぐに生じ、
さらにそれがクレーターのように金
属を朽ちさせてどんどん内部に腐食
のえぐれが侵攻する。


裏側。


別な包丁。
同じ構造の「高級包丁」。


こちらは錆切りのみをした面。


朽ちている実際がお分かりいただ
けるだろうか。


こちら裏側。
朽ちた部分は歯の虫歯と同じで、
削り取らない限り再生しない。
だが、プラークは人体がコントロ
ールさせても、鋼は研ぎ減らした
部分は絶対に物量が増す事は無い。
これはもう宇宙の法則として絶対
に。消滅したものだからだ。


なので研ぎというのは、状態をよく
観察して、「いかに研ぎ減らさない
か」に腐心する。

研いでどうにか使えるように戻して
も、この種の利器材を使用している
限り、また錆びて来る。
良くない刃物だ。
利器材使用の包丁はあまり買い求め
ないほうがよい。
切れ味は青紙なので適正な刃付をし
ていれば良く切れる。
青紙利器材は肥後守も使っているが
カイサキが錆びる事は無い。
肥後守の青紙使用種は地鉄は鉄だ。
やはり、ステンレスとの組み合わせ
の挟み込みが良くないのだと思う。
なお商品によくタガネポンチで
「本割込」と打たれているが、厳密
にはそれは虚偽である。
割込とは地鉄の中に鋼を割り込ませ
て鍛着させるハンマーでの本鍛錬を
させた物の事をいう。日本刀でもそ
の製造法は存在し、刀の世界では
それを「割鋼造(わりはがねづくり)」
と呼ぶ。戦国期に数打ち日本刀で
多用された工法だ。実用的でかなり
頑丈。

ゆえに、機械的に板材を貼り合わ
せて大型近代機械ローラーで圧延
させた物体は「本割込」ではない。
それは「日本刀と同じ製法」とい
虚偽の表現と同じく、刃物の事
よく知らない人向けの観光地の
土産物売り言葉と同軸であり、刃
物の業界人が宣伝文句に使うのは
好ましい表現と姿勢とは決していえ
ない。
なぜならば、真実はそのポンチ刻
印がある刃物は全て本割込ではな
く、サンイッチ・ロール圧着圧
延の板材を型の押し抜きでカット
して、削って、焼き入れ焼き戻しの
熱処理をして、動力研ぎしただけ
の刃物だからだ。
それを「高級品」とか「職人仕様」
と称して包丁の世界では売っている。
あまり褒められた事ではない。
まるで日本刀の擬物大集合の「奈良
物」みたいなものだ。あれは土産物。
大抵は大銘の出鱈目なタガネが切っ
てあり、親指で押しただけで刀身
が曲がる。土産物のニセモノとわ
かっていて買うなら良いが、江戸期
も現代も、刀が見えない人たちは
その出鱈目大銘を正真と思い込んだ
り騙されたりして購入する。
現代でも、ネットオークションなど
は現代刀以外は贋物大ニセモノだら
けだ。
小学生が考えても分かる。
虎徹や清麿が100万円で買える筈が
ない。
だが、本物だ、お買い得だとか信じ
て擬物やニセモノを買ってしまう。
それは、刀が見える見えない以前に
お買い得とかお値打ち価格とか、欲
目が曇っているからだ。
日本刀を金銭交換価値で計ろうとす
ると、目が曇って大抵は刀が見えず
損をする。
プロの贋物師や悪徳業者はしてやっ
たりとウハウハしてる。
昔から刀屋等の古物商を指して人は
言う。
「窃盗、骨董、強盗」と。
骨董屋は強盗よりマシだが、窃盗よ
り悪どい、という古物商の資質を
言い表したものだ。
事実、刀の世界も書画骨董の世界
古物商はかなり質がよくない連
中が圧倒的大多数を占めており、
刀や包丁や絵画はクリーンな物な
のに、それで悪だくみで儲けよう
とする人間たちのいかに汚い事か。
清涼クリーンな刀剣商もあるが
極めて少ない。
また、武道家などで弟子や知り合
いに刀剣を売りつける類は国内に
は実に多いのだが、とても金に汚
い。斡旋しても業者ではないのだ
から無償でやるのはあたり前なの
に中抜きして刀を渡したり、知り
合いや弟子からぼったくろうとし
ている族も実はかなり多い。
刀は清涼なのに人が濁っている。

とにかく、刀も包丁も、汚い事
くない。

鋼部が朽ち錆の包丁を二丁とも完全
復活させた。
料理には使えると思う。




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