荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

吉田修一の巻。

2013年10月08日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を
吉田修一著【愛に乱暴】を読了しました。

僕は完全に直木賞派。吉田修一は芥川賞作家なんで、しばらく手を出しておりませんでした。

ですが、数年前、映画【悪人】がヒットしたので読んでみる事にしました。

そしたら、とても面白かった。純文学というよりは大衆文学だと思いました。

その後、【平成猿蟹合戦図】を読了。これも面白かった。

一人称多視点って現在における文芸界のベーシックラインなんですかね。

んで、3冊目に読んだのが【愛に乱暴】なんですね。

日記形式での一人称と、通常の三人称での物語が交互に挿入されております。

このパターンは、明らかに『日記パートに仕掛けがある』と思わせてくれます。

まぁ、ホントに仕掛けはあったんですが、思った以上の効果を僕は感じました。

主人公である40過ぎの主婦・桃子、その夫・真守、真守の愛人・奈央、舅姑、それらを取り巻く登場人物がみんな、ステレオタイプで描かれます。

この、登場人物がステレオタイプである事が、桃子の崩壊を際立たせたのではないか、と読後強く思いました。

別段、珍しい設定でもなければ、珍しいキャラクターがいる訳でもないのに、中盤よりグイグイ引き込まれたのは、ひとえに吉田修一の筆力でありましょう。

桃子の異常性を、チョコチョコと小出しにしていくリズム感も『さずがだ』と感心しました。

さて、僕はオトコですが、夫・真守に激しい怒りが湧きました。

別に、浮気反対派では絶対ないのですが、あまりにもバカな真守が元凶なのかな、と。

ま、裏切るヤツぁ、ふたたび裏切りまからね。


最後に。

【葉月】って誰だったんだろう。

『良書を読むための条件は、悪書を読まないことである』アルトゥル・ショーペンハウアー(ドイツの哲学者・1788~1860)


本日の処分品。


軽量カップ。もう1個軽量カップがあったので処分します。


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