抽象画、描こうとすると、描けなくなります! ......と教室の生徒が言う。この先どうしたらいいのでしょうか.....とも。
そう、抽象ってわけの分からないもの。入り口も、その先も全く、未知数。分からないから、何か手がかりを探したくてただひたすら、抽象画に挑
んできた。やればやるほど選択肢も、迷いも増えてくる。でも、その分奥が深い。ずっと、やり続けるのに充分過ぎるほどの世界がそこに、存在し
ている。
花の美しさを何とかして、絵に写し取ろうとしていた時期があった。でも実際の花の美しさに圧倒されるばかりだった。そのうち、花と、花を見
ている私の関係が大切なのだと気がついた。花に、美しさだけでなく、力強さや、もろさや、けなげさや、優しさを感じている自分のこころに気が
ついた。この、花と対している自分自身を表現することが、絵の本質なのだと思った。言葉にすると、よけいに難しくなるかもしれない。これこそ
抽象的な物言いで、伝えにくいものだろう。
生徒の質問に、今日は、この辺でやめておきましょうよ、と答えた。自身の世界がいつか、垣間見えるのを待つのがいいと思う。
生徒は、依然、深刻に、画面と取り組んでいる。この先、どうアドバイスしたらよいのかしら....。
『つながるもの』 ハガキの抽象画 2009 Pocket美術函モトコー
( 手透きハガキ 油彩)