越前の白麻紙を一昨日から使い始めた。海景といわれる細長い100号サイズにカットして使う。薄くて、きりっとした感触の和紙である。以前
は、この薄さに感覚が合わなくて、見本を取り寄せたものの購入はしなかった。薄さが頼りなくも感じた。結局、高知の麻紙のごつごつした厚
み感、素朴さに引かれて高知麻紙を30年近く使い続けてきた。基本的には、和紙をパネルに水張りして使用する。何回も絵具を重ねるので
肉厚感のある麻紙を好んで使ってきたのだと思う。今年の春のパリの個展の作品制作時に、紙のまま個展会場に吊るす必要性が出てきて、ごつ
ごつした和紙でなく、柔らかみのあるものを探した。京都で、運よく、この越前麻紙に出会い、使い始めた。
和紙に油絵なので、下地、絵具ののせ方、筆の運びまで工夫が必要で、一枚目ができたときは、これから先に、希望がもてたような気がした。
今回は、二作目である。二作目の油断(?)から、下地液が乾かないうちに、紙のシワを伸ばそうとして500円玉ぐらいの穴を開けてしまった
親指にべったりとちぎれた和紙が貼り付いた。あわてて、補修した。気分は、急降下。
まだ、2、3回、色をのせた状態だが、補修の部分は気にならず、描く前でよかったと胸を撫で下ろしている。和紙は、1000年もつといわれて
いるが、濡れた状態ほどもろいものはない。
明日もまた、越前白麻紙の作品に挑戦する。行けるところまで進めて、取りあえずの完成を目指そうと思う。また、手直しが長々と続くに違い
ないのだが。
NATURE (巡る) 91.0×72.7cm 2009 油彩 高知麻紙
イタリア FANGO美術館 太陽の島シチリアに於ける日本の芸術展出品 2013