1日1日感動したことを書きたい

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人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「ふしぎなキリスト教 」(橋爪大三郎 大澤真幸)

2011-06-04 19:27:33 | 
社会学者橋爪大三郎と同じく社会学者である大澤真幸の、「近代社会の元の元にあるキリスト教」についての対談です。

大澤は、この対談の目的を次のように書いています。

「日本は、キリスト教ときわめて異なる文化的伝統の中にある。つまり、日本は、キリスト教についてほとんど理解しないままに、近代化してきた。それでも、近代社会というものが順調に展開していれば、実践的な問題は小さい。しかし、現代、われわれの社会、われわれの地球は、非常に大きな困難にぶつかっており、その困難を乗り越えるために近代というものを全体として相対化しなければならない状況にある。それは、結局は西洋というものを相対化しなければならない事態ということである。
 こういう状況の中で、新たな社会を選択したり、新たな制度を構想すべくクリエイティブに対応するためには、どうしたって近代社会の元の元にあるキリスト教を理解してゆかねばならない。」

この本は、ユダヤ教とキリスト教はどう違うのかと言う大澤の問いに対して、「ほとんど同じです。イエス・キリストがいるあどうか、そこだけが違う」という橋爪の答えから始まります。

ユダヤ教の歴史、なぜ一神教が生まれたのか、イエス・キリストとは何か、そしてキリスト教がその後の歴史・文明にどのようなインパクトを残してきたのかということが考察されていきます。

そして最後には、資本主義も、人権や自由や民主主義といった価値観も、カントやマルクスやヘーゲルらの思想・哲学も、そして音楽や絵画などの芸術も、キリスト教に深く根ざしていることが明らかにされます。

多神教の伝統を持つ私たち日本人が、一神教であるキリスト教やイスラム教をなぜ理解できないか、とてもよくわかったように思いました。

両氏とも対談していてとても面白かったと書いています。確かにおもしろかったと思います。