1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「ガザ通信」(サイード・アブデルワーヘド)

2009-09-26 11:54:46 | 
 「ガザ通信」(サイード・アブデルワーヘド)を読みました。2008年12月27日から2009年1月18日まで、イスラエルは、ハマスに報復するという名目のもとにガザに一斉攻撃をしかけました。ガザは、360平方キロメートルの土地に140万人のパレスチナ難民が暮らす街です。F16戦闘機、武装ヘリコプター、ミサイル、戦車、白りん弾などなど。この攻撃で1300人を超えるパレスチナ人が殺害され、そのうち450名が幼い子供たちでした。

 この本は、ガザのアル=アズハル大学の教授であるサイード・アブデルワーヘドが、爆撃の中で世界に発信したEメールを、岡真里さんが翻訳したものです。イスラエルの攻撃によって破壊された町。心身のトラウマに苦しむ子どもたちの姿。停戦後にガザを訪れた志葉玲さんの写真も掲載されています。

 この本を読むと、イスラエル軍の攻撃が、病院や医療保健施設、学校、民間人の住居、田畑の破壊などにむけられ、すべてのパレスチナ人の生きる権利を抹殺しようとしたものであったことがとてもよくわかります。世界がhappy new yearを祝っていた同じ時間に、ガザの子どもたちは家族や友人の死に直面していたのです。

 解説のなかで、翻訳者の岡真里さんは、次のように書かれています。

 「ガザの人々の生を一言で言い表すならそれは、『生かさず殺さず』あるいは『生殺し状態』であるという。140万もの人間たちが閉じ込められたまま、生物としての生命の維持だけはかろうじて可能な程度に生かされながら、人間らしい文化的生活のすべてを奪われてあるという状態。それがガザだった。これが基本的人権の否定でなくて何だろう」
 「(3週間のイスラエルの攻撃で)あってはならない死を死んだ者たちが1300人にのぼるというだけではない。それは、ガザで140万人もの人間たちが、そして世界で460万人ものパレスチナ難民たちが、あってはならない生を強いられているという事態の一部なのだ。」
 
 僕自身の力はあまりに無力だけれど・・・それでもなお
 イスラエルの占領を1日でも早く終わらせ、ガザの人々が自由と尊厳ある生を生きられるようになるために、何ができるのかを深く考えさせられる一冊でした。