かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

3.11の青空の下、それぞれの復活

2024-03-11 19:58:56 | 日記

3.11から13年目となる日、よく晴れていたので青葉の森を歩く。あの日と違って圧倒的な青空が地上を覆い、三月らしい光が樹々の梢から差し込んで枝々の影を揺らしていた。このところの冷たい風も今日だけは息をひそめていた。

それらの光をいっぺんに浴びようとスプリングエフェメラルの代表カタクリさんの葉が南斜面の暖かなところからあちこちと顔を出していた。今年花を咲かして命のリレーを担当する7年生の卒業生を探しながら歩いていたら、いたいた気の早い卒業生が早くもツボミを赤らめていた。

      

 

明後日から、気温が15度ほどに近づく日々が続くとの予報である。そうすると、こうした気の早い卒業生たちはあと1週間もすると愛らしいピンクの花弁を開かせるのだろう。

一匹の羽虫も日向ぼっこをしていたが、どこかに行っちゃった。もう、花たちの開花と併せてせっかちに生れ出るものが、羽の訓練でもしているのだろうか。

例年、最も早くチョウの飛翔を観察できる遊歩道の南斜面に行ってみた。いたいた、目の前をひらひらとなにものかがよぎって、暖かそうな落ち葉の上にとまって翅を広げ始めた。

正面から姿をとらえようと少し歩いたら、気づいたのかその子もどっかに行っちゃつて、それっきり現われなかった。かろうじて1枚だけ側面からその子の姿をとらえた。図鑑で調べたら、タテハチョウ科のキタテハかシータテハの秋型の翅の色合いに似ていた。昨秋に生まれて、どこかにじいっと冬を越していたものが、今日の陽光に誘われて飛び出したのだろう。北国の冬越のチョウたちには頭が下がる。もちろん花の蜜も吸わずに、サナギのようなあったかシェルターもないのに、どうして氷点下の世界を生き延びられるというのか。もう少しだけのガマンで、カタクリさんたちが甘い蜜を分けてくれるだろう。

 

 

    

 

いつもの展望地から、蔵王の姿を仰ぐ。ちいさな雲がやっと確認できるほどの青空。週末までに降ったであろう新雪を載せて、蔵王の峰々がさらに輝いて見える。

青空は忘却の色。

小さな雲はあの時の思い出のように、すこじずつ青空に吸い込まれていくようだ。

この春にまたやってくる命たちと「今」を分かち合おうではないか。

 

   

 

   

 

 

 

   

 

 

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