生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

G.A.Cesareo   Paolo Tosti   La Serenata   トスティ  セレナータ

2014-11-02 19:59:14 | トスティ
 日本で声楽を勉強すれば、100人が100人、1,000人になれば999人はトスティを勉強しますよね。勉強の教材と言うだけでなく、コンサートピースとしても好きな曲が幾つかあり、いずれこのブログで取り上げる積りではいました。一方でトスティの曲でも全くピンとこない曲もあり先生から薦められても何とかいなしてやらずに済ませた曲もあります。全然ピンとこなかったのがこのトスティのセレナータです。

 パヴァロッティやカレーラスの音源は何度も聞きました。また声楽発表会で他の声楽を勉強している男声が歌うのも複数回聴いています。私がピンと来ない最大の理由は、本場ヨーロッパではトスティというと芸術歌曲よりややポピュラー音楽的と評されていると聞きますが、特にこのセレナータの曲想が前奏からしてポピュラー音楽の雰囲気を強く感じてしまうからでしょうか。また、セレナータと言うからには思い人に愛を届ける歌だと思うのですが、トスティのセレナータに限って言えばどうしても愛のささやきには思えません。

 さて、昨日のレッスンは出張レッスンで、受講生が輪番でレッスン会場を確保して先生にお越し頂いています。希望すれば他の受講生のレッスンも見学できます。新参の私としては当然兄弟子のレッスンには興味がありますので、また姉弟子のレッスンであっても参考になることは種々ありますので、極力見学させてもらうようにしています。ということで昨日は兄弟子がトスティのセレナータを歌うのを見学させてもらいました。先生曰く、「絵(=情景)が見えて来ない」ということで、歌詞の説明が始まります。イタリア語に堪能な様で歌詞の意味を憶えているのではなくイタリア語を日本語に訳して説明してくれている様なのです。畑中良輔氏編の全音楽譜出版社のトスティ歌曲集1の巻末の訳詞を読んでも情景が把握できませんでしたが、先生の説明を聞いていると目の前に情景が浮かんできます。兄弟子の歌にも説得力がどんどん備わってきます。

 トスティは歌ってみたいけれどまだ歌っていない曲がいくつもあるので、セレナータを歌う優先度は先生から薦められない限りは高くはありませんが、人が歌うときの聞き方はこれまでと大きく変るように思います。むしろ自分なりに情景を把握したので、歌い手自身が自分の情景を持たずに歌っていると、聞き手に情景が伝わって来ないと、駄目評価とさせて頂きましょう。

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