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下部組織について42

2014-10-31 00:26:59 | サッカー(日本代表、W杯等)

 事例紹介コラムです。
 最近の論調では日本サッカーの育成部分について、よく論じられるようになりました。9月のAFC  U-16選手権でU-16日本代表が準々決勝で韓国に完敗し、4大会ぶりにU-17W杯出場権を逃した事に続いて、先日はU-19日本代表がAFC U-19選手権準々決勝で北朝鮮にPK負けし、4大会連続で世界大会に出られませんでした。日本の下部世代は弱体化したのでしょうか。まずは元川さんという女性コラミストのコラムです。以下、抜粋して紹介。
   
 日本のユース年代は89年生まれ以降の世代からずっとU-20W杯に出ていない。今までは「U-17W杯には出ているから大丈夫」という楽観的だったが、10代の年代別世界大会をどちらも逃せば、選手達が国際経験不足になり、今後の成長にも影響が出る状況は極めて深刻。
 実際、日本が’98年大会から5回連続でW杯に出場できたのも、年代別代表がアジアを勝ち抜いてきたからであり、’79年組が’99年ワールドユース(現在のU-20W杯)準優勝、’00年シドニー五輪ベスト8、’02年日韓W杯決勝トーナメント進出という成果も、当時の育成がうまく行っていたことの証明。現在の欧州組の出世頭の本田、香川、内田らもU-20W杯経験者。

 日本の育成を根本的に見直すことが重要。のU-19代表の戦いぶりを見ても、日本の若手は球際や寄せの激しさ、ボールへの執着心、勝利への強い意欲などで相手より見劣りしている部分があったと言わざるを得ない。Jリーグで活躍している南野選手(J1・C大阪)でさえ、プレーの軽さがあった。日本の若手選手は小手先の技術には長けているが、守りに入った相手の守備を強引にこじ開けるパワーや力強さが欠けており、今回のU-19の結果も実力どおりという声もあり、この先の方向性を模索するところからスタートすべき。

 南野選手らが育った時代はすでに人工芝グランド等が常設化されており、土などのグランドでボールを蹴ったことはほとんどないはず。となれば、アジアの荒れたピッチでは勝手が違ってくる。その傾向はブラジルW杯の日本代表でも顕著。荒れたピッチなのに抜群のボディーバランスとボール扱いを見せているブラジル人に対して、日本選手は何度もコントロールミス。今後は少年のうちから状態の悪いピッチでトレーニングをさせる機会を設けるなど改善策を考えていかないと、アジアの壁は厳しくなると言える。
 今までの日本は技術が高く、守備もできて、攻守両面でチームに貢献できるオールラウンドプレーヤーが評価されてきたが、今後は多彩な代表選手選考を行っていくことも肝要。選手の可能性はどこに隠されているか分からない。それを念頭に置き、画一化された視点を変えていくべき。育成をテコ入れしなければ、日本サッカーの未来の発展はない。
GOAL該当記事:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141021-00000007-goal-socc

 なかなか興味深いコラムでした。一見整った日本のピッチ環境が実は、画一的な選手を生み出しており、応用性が低い選手を次々と生み出していて、それが日本の若手選手の弱体化を招いているという論調です。確かにきれいに整った天然芝でしかプレーをしたことのない選手は、外国の荒れたピッチでは応用が利かず、機能しないのかもしれません。以前のFOOT×BRAINの記事で、日本にできているアルゼンチンの名門スクールでは、あえて裸足でボールを蹴らせていると書きましたが、まさにそういう部分が違うのかもしれませんね。日本のユース以下の練習では時々、裸足でやるのもいいかもしれません。また、アルゼンチンのハートを学ぶべきでしょう。
 そんな中、今度は辛口セルジオさんのコラム「セルジオ越後の一蹴両断!」を発見しました。「このまま育成年代の弱体化が進めば、日本はW杯に行けなくなる!」というタイトルのコラムです。以下、抜粋して紹介。

 U-19日本代表が、U-19アジア選手権の準々決勝で負けて、来年夏のU-20W杯の出場権を逃した。これで4大会連続で逃しており、この事実は重く受け止めなければいけない。日本は、U-20W杯に'95年から7大会連続で出場し、そのうち4回はベスト8以上に進出。特に、'99年のナイジェリア大会は黄金世代が躍動して準優勝。世界の舞台でしか得られない貴重な経験を積み、その後、多くの選手がA代表の主力として活躍。また、この世代のチームからは、すぐにでもA代表で試してほしいと思うような選手が次々と頭角を現したものだった。
 でも、アジア予選敗退が続く最近は、そんなサイクルが途絶えつつある。世界レベルを知ることができずに、ドメスティックなJリーグだけで経験を積むことになるから。成長スピードが遅くなるのは当然。今大会を通じて日本のプレーはよくなかった。この大会の直前には、リオ五輪を目指すU-21代表がアジア大会で惨敗し、弟分のU-16代表も5大会ぶりにU-17W杯に出場できず。

 この負の連鎖は決して偶然ではない。パスをつなぐだけで、引いた相手の守りを崩せない。数少ないチャンスに決めきれない。相手がプレスをかけてくると、途端にバタバタする。どの世代も、同じように苦戦していることからもそれは明らか。
 では、アジアのライバル国が急なレベルアップを遂げたわけでもないのに、日本の育成年代がこんな厳しい状況に陥ってしまった最大の原因は、日本サッカー協会の責任逃れ体質と、育成年代強化を軽視する姿勢にあるのではないか。メディアが敗退の責任を追及しないのをいいことに、惨敗しても誰も反省せず、責任を取らない。
 そして、ビジネス的においしいA代表の興行にばかり力を注ぎ、育成年代への投資を疎かにしている。以前の育成年代のチームは、もっと頻繁に海外遠征や強化試合を行なっていたが、最近はさっぱり。再び海外遠征の機会を増やすなど手を打たないと、世界との差は広がるばかり。このままでは、日本サッカーの未来は暗いものになってしまう。
週プレNEWS該当記事:http://wpb.shueisha.co.jp/2014/10/30/37995/

 セルジオさんは相変わらず辛口です。当ブログでは昔からよく取り上げています。全くそのとおりです。日本協会はビジネス的においしいA代表の興行にばかり力を注ぎ、育成年代への投資を疎かにしており、もっと海外経験を積ませるべきと。
 当ブログではJリーグにも大きな責任があると思います。極めつけが「2ステージ制」に象徴される最近の商業主義の風潮。2ステージ制になれば、日程が過密化して選手の負担を増やす。また、短期決戦が増えるために即戦力を重視して、育成にじっくり力を注ぐという事がなくなる可能性がある。日本協会だけでなく、Jリーグにも大きな責任があると考えます。早く価値観を矯正しないと、日本のサッカー界全体が弱体化し、やがてはW杯に出場できない時代が来る。サッカー人気が低下し、更に弱体する負のデフレスパイラルに陥っていきます。何とかせねば。

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