碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「くるり~誰が私と恋をした?~」テーマは、自分って何?

2024年04月17日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「くるり~誰が私と恋をした?~」

「自分って何?」という

普遍的テーマが潜んでいる

 

火曜ドラマ「くるり~誰が私と恋をした?~」(TBS系)。主演は、これがゴールデン・プライム帯での連ドラ単独初主演となる生見愛瑠だ。

緒方まこと(生見)は階段からの転落事故で記憶を失ってしまう。名前はもちろん、自分に関する情報は皆無。唯一の手掛かりは、ラッピングされた男性用の指輪だった。

やがて彼女を知っているという男たちが現れる。会社の同僚で「唯一の男友達」と称する朝日結生(神尾楓珠)。フラワーショップの店主で、「元カレ」だという西公太郎(瀬戸康史)。さらに偶然出会った年下の青年、板垣律(宮世琉弥)も何やら訳アリふうだ。

主人公が記憶喪失という設定のドラマは珍しくない。たとえば木村拓哉主演「アイムホーム」(テレビ朝日系)がそうだったように、自分が何者で、何をしてきたのか。家族も含め周囲の人たちにとっての自分は、一体どんな人間だったのか。それが分からないことがサスペンスを生むからだ。

このドラマも、まことと3人の男をめぐる一種のミステリーになっている。しかし、それ以上に注目したいのは、「過去の自分」探しと「未来の自分」づくりが、同時進行していく物語の新しさだ。そこには「自分って何?」という普遍的なテーマが潜んでいる。

記憶喪失モノは暗くなりがちだが、生見の明るさを生かした出色のラブコメになりそうだ。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2024.04.16)


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