碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「花咲舞が黙ってない」正義感だけではない強い憤り

2024年04月24日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

正義感だけではない強い憤り

今田美桜主演

「花咲舞が黙ってない」

 

第1シーズンの放送が2014年、第2シーズンはその翌年だった。「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ系)が9年ぶりの復活である。

銀行本店が問題を抱えた支店を指導する「臨店班」。そこに配属された花咲舞が水面下の不祥事や悪事に立ち向かう。

最大の武器は、たとえ相手が上司であっても、間違ったことや筋の通らないことには、「お言葉を返すようですが!」と一歩も引かないガッツだ。

新シーズンでは、かつて杏が演じた舞は今田美桜に。臨店班の先輩・相馬も上川隆也から山本耕史にバトンタッチした。しかし、ドラマの基本構造は変わっていない。

第1話では、立場を利用して顧客から裏金を得ていた支店長をやり込めた。

そして第2話では、顧客の機密情報をライバル社に流すことで、有利な再就職を目論んだ中年行員にストップをかけた。

いずれの場合も、舞は正義感だけで相手を“成敗”するわけではない。そこには、立場の弱い者や抑圧されてきた者に対する共感からくる、強い憤りがあるのだ。

「私もこの銀行が正しいとは思っていません」と舞。だが、「銀行員としての道を踏み外してやったことは、働いている全ての行員を侮辱する裏切り行為です!」と言い切った。

そんな舞を「不祥事隠ぺい」の道具として扱う、執行役員(要潤)たちの存在も物語に適度な緊張感を与えている。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.04.23)


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