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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ドラマ「はつ恋」最終回に、拍手

2012年07月19日 | テレビ・ラジオ・メディア

うーん、そう来たかあ(笑)。

ドラマ「はつ恋」の最終回。

前回までの展開を見てきて、ヒロイン(木村佳乃)が、男2人(伊原剛志・青木崇高)のどちらかと共に生きていくことに、やはりどこか抵抗があった。

では、どうするのだろう、とも思った。

この結末、見事というべきだ。

少女・緑の、終りなき“はつ恋”は、見る側にも鮮烈に記憶された。

いやあ、脚本の中園ミホさんに、拍手です。

キャスト、スタッフの皆さんにも。

いいもの、見せてもらいました。














ちょうど1ヶ月前、6月19日の「日刊ゲンダイ」に書いた、このドラマについての文章を、再録しておきます。

この時点で下した評価は、間違っていなかったようです(笑)。


今から見ても損はない
NHKの人妻物語

NHKドラマ10「はつ恋」が佳境に入ってきた。かつての初恋の人、しかも自分を捨てた男と再会する人妻の物語。

このドラマで注目したいのは自身も人妻(夫は東山紀之)になった木村佳乃と、情感に満ちた大人の演出の2点だ。

仕事も家庭も充実していた木村が突然難しい肝臓がんに襲われる。
夫が探してきた凄腕の医師は、なんと別れた恋人(伊原剛志)だった。

夫を大切に思う一方で、伊原の子供を妊娠・流産した過去を隠してきた木村の心境は複雑だ。

そんな揺れる人妻を木村が繊細に表現している。たとえば、再び伊原に傾倒しそうな自分を抑えようとする表情など絶品。

もうひとつ、このドラマを支えているのが井上剛の演出である。井上は映画化もされた人気ドラマ「ハゲタカ」を担当していた3人のディレクターのひとり。

朝ドラ「ちりとてちん」「てっぱん」も手がけ、〝市井の人たちの中にあるドラマ〟を掘り起こす力に定評がある。

この「はつ恋」でも大友啓史ディレクターや堀切園ディレクターのようなケレン味たっぷりな作りではなく、見る側に余韻を残す丁寧な演出と映像が光っている。

ドラマはちょうど折り返し点だ。木村と伊原の距離が縮まったところで、ここからが山場。今から見ても遅くはない。

(日刊ゲンダイ 2012.06.19)




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