碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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小林秀雄・岡潔『人間の建設』

2010年03月12日 | 本・新聞・雑誌・活字

新潮文庫の新刊『人間の建設』。

小林秀雄と岡潔の対談集だ。

なんてったって、“批評の神様”と“日本数学史上最大の数学者”である。

対談が行われたのは、昭和40(1965)年8月16日の京都。

読んでみると、互いを尊敬しつつ、ざっくばらんな話し方をしている。

帯には「史上最強の雑談」とあるが、中身は濃いぞお(笑)。

小林「私は人というものがわからないとつまらないのです。だれの文章を読んでいても、その人がわかると、たとえつまらない文章でもおもしろくなります」

岡「理性は捨てることを肯(がえん)じない。理性はまったく純粋な意味で知らないものを知ることはできない」


それにしても、こういう本が、今という時代に文庫で出てくるあたり、蓄積している“知の財産”の豊かさというか、新潮社はすごいなあ、と思ってしまう。

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