新潮文庫の新刊『人間の建設』。
小林秀雄と岡潔の対談集だ。
なんてったって、“批評の神様”と“日本数学史上最大の数学者”である。
対談が行われたのは、昭和40(1965)年8月16日の京都。
読んでみると、互いを尊敬しつつ、ざっくばらんな話し方をしている。
帯には「史上最強の雑談」とあるが、中身は濃いぞお(笑)。
小林「私は人というものがわからないとつまらないのです。だれの文章を読んでいても、その人がわかると、たとえつまらない文章でもおもしろくなります」
岡「理性は捨てることを肯(がえん)じない。理性はまったく純粋な意味で知らないものを知ることはできない」
それにしても、こういう本が、今という時代に文庫で出てくるあたり、蓄積している“知の財産”の豊かさというか、新潮社はすごいなあ、と思ってしまう。