KAWADE夢ムックの新刊『文藝別冊 黒澤明』、『文藝別冊 開高健』を読む。
それぞれ、生誕100年と80年だそうだ。
こういう節目を機会として、興味・関心のある人たちに、再び“接すること”ができるのは有難い。
しかも、黒澤本には、新資料である脚本『喋る』、エッセイ『処女作のころ』が収められている。
また開高本では、単行本未収録コレクションと銘打った、佐々木基一との対談や、荻昌弘・小松左京との鼎談などが読めたりするのだ。
裏表紙の内側(?)には、70年のサントリー・オールドの広告が印刷されている。
写真は、黒のセーター姿で、グラスを持った右腕を伸ばしている開高健だ。
そこに、ご本人が書いたコピーが並ぶ。
「跳びながら一歩ずつ歩く。
火でありながら灰を生まない。
時間を失うことで時間を見出す。
死して生き、花にして種子。
酔わせつつ醒めさせる。
傑作の資格。
この一瓶。」
・・・うーん、上手いよなあ(笑)
そして、黒澤本の終わりのほうに増補としてある「黒澤明が選んだ百本の映画」が、これまたとても興味深い。
黒澤監督が語った、いくつかのものを再構成した文章もいいし、何より「百本の映画」リストが楽しい。
「チャップリンの黄金狂時代」
「荒野の決闘」
「第三の男」
「欲望という名の電車」
「勝手にしやがれ」
「ベン・ハー」
「太陽がいっぱい」
「アラビアのロレンス」
「地下室のメロディー」
「鳥」
「俺たちに明日はない」
「真夜中のカーボーイ」
「惑星ソラリス」
「ゴッドファーザー」
「旅芸人の記録」
「アニー・ホール」
「パリ、テキサス」
「ガグダット・カフェ」
「八月の鯨」
「赤西蠣太」
「ゴジラ」
「浮雲」
「幕末太陽伝」
「戦場のメリークリスマス」
「となりのトトロ」
「あ・うん」
「HANA-BI」などなど、100本。
多くの作品は観てあるので、これらの作品についての黒澤明の「ひとことコメント」にうなずいたり、うなったり(笑)させてもらった。