碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「鉄オタ道子、2万キロ~秩父編~」旅先の〝ありのまま〟と向き合う

2024年09月11日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

旅先の〝ありのまま〟と向き合う

一人旅が心地いい

 

玉城ティナ主演

「鉄オタ道子、2万キロ~秩父編~」

 

玉城ティナ主演の連ドラ「鉄オタ道子、2万キロ」(テレビ東京系)が放送されたのは2022年1月から3月だった。

家具メーカーで営業の仕事をしている大兼久道子(玉城)は、大の鉄道好きだ。出張先で地元の鉄道を楽しむのはもちろん、2日の有給をとって列車に乗り込み、ローカル駅や秘境駅を目指す。

2年前は、駅舎が民宿を兼ねる函館本線の比羅夫駅に始まり、福島県・会津鉄道の大川ダム公園駅、地下40mのトンネルにある新潟県の筒石駅などを訪れていた。

先週木曜の深夜に流された「秩父編」は2年ぶりの新作の前編だ。開通55周年の西武秩父線に乗り、終点の西武秩父駅で降りた道子は、横瀬駅までのんびりと歩く。

途中で小さな滝を眺めたり、アニメの聖地巡りの男女と出会ったりするが、ドラマチックなことが起きるわけではない。

横瀬駅前の食堂で食べるのも、ごく普通の野菜カレーだ。名所や名物には無関心な道子だが、食堂のおばちゃんの話には耳を傾ける。窓から見える武甲山を削って生まれたセメントが戦後、東京のビルや高速道路の建設を支えたというのだ。

初めてのホームに降り立った時、必ず「ここ、どこだよ……」とつぶやく道子。その上で、行った先の「ありのまま」と自然体で向き合っていく。そんな道子流一人旅が心地いい。

後編は12日(木)深夜に放送される予定だ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.09.10)

 


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