精神科や精神科医に対する
不要なハードルを下げる効果がありそうだ
「Shrink(シュリンク)
ー精神科医ヨワイー」
先週末、土曜ドラマ「Shrinkー精神科医ヨワイー」(NHK)がスタートした。
主人公の弱井幸之助(中村倫也)は新宿の路地裏で精神科医院を営んでいる。ハーバードの医科大学院に留学した俊英だが、大学の医局を辞めて開業医の道を選んだ。
第1話の患者はシングルマザーの雪村葵(夏帆)。保育園に通う息子を育てながら働いているが、突然、通勤電車の中で胸が苦しくなり、倒れてしまう。
「パニック症」だった。過労や徹夜、ストレスなどによって交感神経が過剰に働き、激しい動悸や息苦しさなどの症状を起こす病気だ。
弱井は「脳の誤作動」によるものだと説明し、葵は「この苦しさに名前をつけて欲しかった」と感謝する。電車や会議室といった閉鎖空間に不安を覚える葵だが、弱井の指導で少しずつ日常を取り戻していく。
アメリカでは精神科医をスラングで「シュリンク」と呼ぶ。患者の日常的な悩みをシュリンク(小さく)してくれる身近な存在という意味だ。
一方、日本では昔から精神科はどこか「特別なところ」と思われているふしがある。受診をためらい、悩みや苦しみを我慢してしまうことの危うさ。
このドラマには、精神科や精神科医に対する不要なハードルを下げる効果がありそうだ。物語は全3話。この後は「双極症」「パーソナリティ症」が続く。
(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.09.04)