碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

中村倫也主演「Shrink(シュリンク)」は、精神科や精神科医に対するハードルを下げる!?

2024年09月05日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

精神科や精神科医に対する

不要なハードルを下げる効果がありそうだ

 

「Shrink(シュリンク)

ー精神科医ヨワイー」

 

先週末、土曜ドラマ「Shrinkー精神科医ヨワイー」(NHK)がスタートした。

主人公の弱井幸之助(中村倫也)は新宿の路地裏で精神科医院を営んでいる。ハーバードの医科大学院に留学した俊英だが、大学の医局を辞めて開業医の道を選んだ。

第1話の患者はシングルマザーの雪村葵(夏帆)。保育園に通う息子を育てながら働いているが、突然、通勤電車の中で胸が苦しくなり、倒れてしまう。

「パニック症」だった。過労や徹夜、ストレスなどによって交感神経が過剰に働き、激しい動悸や息苦しさなどの症状を起こす病気だ。

弱井は「脳の誤作動」によるものだと説明し、葵は「この苦しさに名前をつけて欲しかった」と感謝する。電車や会議室といった閉鎖空間に不安を覚える葵だが、弱井の指導で少しずつ日常を取り戻していく。

アメリカでは精神科医をスラングで「シュリンク」と呼ぶ。患者の日常的な悩みをシュリンク(小さく)してくれる身近な存在という意味だ。

一方、日本では昔から精神科はどこか「特別なところ」と思われているふしがある。受診をためらい、悩みや苦しみを我慢してしまうことの危うさ。

このドラマには、精神科や精神科医に対する不要なハードルを下げる効果がありそうだ。物語は全3話。この後は「双極症」「パーソナリティ症」が続く。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.09.04)

 


この記事についてブログを書く
« ORICON NEWS(オリコンニュー... | トップ | 赤坂で、『TBSレビュー』... »
最新の画像もっと見る

「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評」カテゴリの最新記事