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『日刊ゲンダイ』に連載しているコラム「テレビとはナンだ!」。
今週の掲載分では、「新週刊フジテレビ批評」について書いた。
フジテレビに関する話題に限らず、広くテレビメディアを考えるというスタンスの番組で、以前から好感を持っている。
他局のメディアリテラシー番組に比べても一枚上というか、評価できる内容であり、それだけに注文したいこともあるのです。
見出し:
違和感が残った「新週刊フジテレビ批評」
コラム本文:
先日、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」が、精神科医・和田秀樹氏の近著「テレビの大罪」(新潮新書)を取り上げていた。
この本はタイトル通り、徹頭徹尾テレビ批判で成り立っている。
「細身女性を賛美するテレビが拒食症を増やす」「過度な医療過誤報道は医療を潰す」「自殺報道が自殺をつくる」等々、厳しい指摘が並ぶ。
スタジオには和田氏が登場し、「テレビは若い人向けの番組ばかり編成する。大人向けの番組を流した方が良いのに、分かりやすさだけを求めて作っている」などと生批判。
番組司会の局アナもコメンテーターも“御拝聴”といった様子だった。
しかし、ちょっと待ってほしい。
テレビが医療過誤を犯罪として報道することで、産婦人科など訴えられるリスクの大きな科の医療崩壊を招いていると和田氏は言うが、そんな単純な話だろうか。
また、「いじめ自殺」報道が他の子どもの自殺を誘発するという理由で、事件を伝えないままにしていいのだろうか。
和田氏の批判は真摯に受け止めるべき点も多いが、複雑な要素で構成されている社会問題を全てテレビ報道の責任に帰するかのような論調には違和感が残る。
さらに、マスメディアとしてのテレビが高齢者向けだけにシフトできるものでもない。
せっかくの著者生出演。スタジオでは、ぜひその辺りを聞くべきだった。
(日刊ゲンダイ 2010.09.28付)