碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「JKと六法全書」ヒロインが体現するギャップの面白さ

2024年06月05日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

金曜ナイトドラマ

「JKと六法全書」

ヒロインが体現する「ギャップ」の面白さ

 

朝ドラ「虎に翼」の主人公、猪爪寅子(伊藤沙莉)のモデルは三淵嘉子。戦前に女性初の弁護士となり、戦後は判事を務めた。女性の法曹界進出における先駆者だ。

そして2024年、ついに女性弁護士ならぬ「JKB=女子高生弁護士」が登場した。「JKと六法全書」(テレビ朝日系)の桜木みやび(幸澤沙良)である。

確かに、司法試験の受験や弁護士資格には年齢制限がない。みやびは祖母である桜木華(黒木瞳)が経営する法律事務所に所属。高校の制服のままで法廷に立っている。

このドラマを駆動しているのは、ヒロインが体現する「ギャップ」の面白さだ。

ごく普通の女子高生がヤクザの組長になる「セーラー服と機関銃」や、不良女子高生が刑事になった「スケバン刑事(デカ)」などと同様、女子高生と弁護士の組み合わせもかなりトリッキーだ。

みやびは、これまでに詐欺事件や殺人事件などを扱ってきた。

日常ではちょっと地味めな高校生である彼女が、法廷では堂々の弁論で被告の無罪を勝ち取っていく。このギャップが見る側に快感を与えるのだ。

思えば、8年前の「咲―Saki―」(MBS・TBS系)で、天才的な「女子高生雀士(じゃんし)」に扮して注目されたのが浜辺美波だった。

みやび役の幸澤は今回が主演第2作。2つの顔を持つ17歳を生き生きと演じており、今後が期待できそうだ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.06.04)

 

JKBの桜木みやび(幸澤沙良)

 


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