『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。
今週の掲載分では、日本テレビの警察ドラマ「デカワンコ」について書いた。
デカ(刑事)とワンコ(犬)である。
ワンコ(警察犬)みたいに鼻のきくデカ(女刑事)の話だ。
土曜の夜9時。
堂々のゴールデンタイムなんだけどなあ(笑)。
見出し:
多部未華子のドラマに
「太陽にほえろ!」のテーマ曲はやめてくれ
本文:
警察ドラマがウケるとなれば乱立するのは当然。
また乱立する中で目立とうと思ったら“異色”感を出そうとするのも理解できる。
しかし、このドラマはどうなんだろう。
日本テレビ・土曜夜9時の「デカワンコ」である。
ロリータ・ファッションに身を包んだ女刑事(多部未華子)が警察犬並みの優れた嗅覚を武器に大活躍。
先週も刺殺事件の凶器であるナイフを草むらで見つけたり、火薬の臭いを察知して手製爆弾を発見していた。
まあ、確かに異色ではあります。
容疑者の匂いを嗅いで「この人は違います」と叫び、たまたま買い物に行ったスーパーの店員に近づいて鼻をくんくんさせ、「あなた犯人でしょ」と決めつける。
しかもそれらの指摘が全部的中しているのでは、見ている側のほうがテレてしまう。
制作陣が「ごくせん」のヒットにあやかりたい気持ちはよくわかる。
だが、同じ原作者の漫画だからといって何でもドラマ化すればいいってもんじゃない。
毎回嗅覚頼みのワンパターンでは飽きられるのは必至。
芸達者で真面目に役柄に取り組む多部未華子が可哀想だ。
そしてもう一つ。
このドラマのタイトルバックに流れる音楽は「太陽にほえろ!」のテーマ曲のアレンジだ。
劇中のBGMも同様。
どちらも自局のドラマとはいえ、この内容にあの名曲を使うのは勘弁してほしい。
(日刊ゲンダイ 2011.01.24)