碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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久米宏さんが、先日の「講演」で話したこと

2013年06月10日 | テレビ・ラジオ・メディア

先日の放送批評懇談会の創立50周年記念式典。

この時、「50周年記念賞」を受賞した久米宏さんが講演を行った。

久米さんにお会いするのは久しぶりだったので、講演前に会場ロビーでご挨拶した。

相変わらず、張りのあるいい声だ。

ただ、講演自体は、式典およびギャラクシー賞贈賞式の取材陣への対応で動いていたため、聞くことができなかった。

ロビーでは、その映像は流れていたが、音声が出ていなかったのだ(笑)。




残念に思っていたところ、産経新聞がその要約を掲載してくれた。

当日の雰囲気が伝わってくる。

以下、転載です。


久米宏が明かす
「Nステ」「ザ・ベストテン」裏話 
国会招致覚悟したことも…

優れたテレビ、ラジオ番組などを表彰するギャラクシー賞を主催し、放送批評発展に力を注いできたNPO法人放送批評懇談会は今年、創立50周年を迎えた。

3日に東京都目黒区で開かれた記念式典では、「50周年記念賞」が贈られたフリーアナウンサーの久米宏氏(68)が「ラジオとテレビと格闘した46年。ほぼ50年です。」と題して講演。「ザ・ベストテン」や「ニュースステーション」など数々の有名番組の舞台裏を明かした。

 ■「話したのは一度」

「よく大きな賞をいただいた方が『身に余る光栄』と仰るのを不思議に思っていたが、本当に身に余る光栄があるんだと、初めて知りました」

受賞の喜びをそう表現して講演を始めた久米氏。これまで講演依頼はすべて断ってきたため、意外にも、講演という形式は初めてという。

久米氏は、長年のキャリアの中でも「記憶に残る年」として、20年前の平成5年を挙げた。サッカーJリーグが始まり、衆院選で自民党が過半数割れして非自民8党会派による細川連立政権が誕生した年だ。

老眼が進んでいたという久米氏は、衆院選に備えてこの年の夏から「ニュースステーション」で眼鏡をかけ始めたという。

細川内閣は、久米氏やジャーナリスト、田原総一朗氏のテレビ番組での自民党批判が発足の後押しをしたとして、「久米・田原政権」とも呼ばれた。

そして、この年の秋、テレビ朝日の当時の報道局長だった椿貞良氏が偏向報道を認める発言をしていたことが発覚。国会で椿氏が証人喚問されるなど、同局の放送免許取り消し処分が検討される事態になった。

久米氏は「報道局長と口をきいたのは、夏の開票特番の壮行会で『今年の夏は寒いですね』と一言話しただけ」と説明。

「私も国会に呼ばれる覚悟を決めていた。スタッフからも『国会に行くのは小学校の見学以来でしょ』と言われたり…。非常にこの年はよく覚えています」と懐かしそうに振り返った。

 ■「運が良かった」

久米氏は早大卒業後の昭和42年、TBSに入社し、アナウンサーとして歩み始めた。ただ、入社直後に体調が悪化して結核などを患い、「最初の3年間はほとんど仕事ができなかった」という。

そんな久米氏に目をかけたのが、放送作家でタレントの永六輔さんだった。45年からは、永さんがパーソナリティーを務めていたラジオ番組「土曜ワイドラジオTokyo」に出演。団地を訪れ、番組を聴いている実際の世帯を調べる「聴取率調査」を担当した。

番組の収録先で、タレントの萩本欽一さんに遭遇したことがあった。萩本さんから「(番組)聞いてたよ。ガムあげる」とガムをもらったという久米氏はその直後、萩本さんも出演したクイズ番組「ぴったし カン・カン」の司会に抜擢(ばってき)される。

「僕は永さんや萩本さんに引き上げてもらった。全部、運が良かっただけなんです」

53年から歌番組「ザ・ベストテン」に黒柳徹子さんとともに出演すると、久米氏は瞬く間に人気司会者に。このころTBSを退社しフリーアナウンサーに転身する。

久米氏は「ベストテンには教訓がある」と思い出話を明かす。出演者の誕生日を祝うためケーキが振る舞われた放送で、ある歌手がケーキのついた指をテーブルクロスでぬぐうシーンが画面の隅に映り、苦情のはがきが多く寄せられた。

「1000万人が見ているということは、どんなささいなことも見逃してはくれない。テレビでは、細かいことに注意を払わなくてはいけない」

 ■「体形維持が一番大変」

60年に始まった「ニュースステーション」でのくだけた司会ぶりは、賛否が分かれつつも注目を集め、18年半続く長寿番組になった。

久米氏は番組で、フリップボードの裏に張られたコピーが見えないように持ち上げる方法など、「テレビの向こうから見ている人に気を使った」演出方法を心がけたという。

ニュースステーションで最も大変だったのが、「体形の維持」だった。

「ニュースをやっている人間ほど、隅から隅まで残酷に画面にさらされる人はいない。オーダーではなく最新流行の既製服を着るためには、体形を維持しなければならない。
一緒に住んでいるスタイリスト(久米氏の妻)に、そううるさく言われまして…」

笑顔とユーモアを絶やさない軽妙な話しぶりが、会場を大いに楽しませていた。ニュースステーション終了後はテレビ出演の機会が減ったため、「最近はほとんど隠居状態」とも笑っていたが、名司会者の鋭い舌鋒(ぜっぽう)は“現役時代”そのままだった。(三品貴志)

◇久米氏は現在、TBSラジオの「久米宏 ラジオなんですけど」(毎週土曜午後1時~2時55分)に出演中。

(産経新聞 2013.6.9)


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