goo blog サービス終了のお知らせ 

碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」は 上々のエンタメ作品

2021年09月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」は

上々のエンタメ作品

この快作を見逃すことなきように!

 

俳優が映画を監督したり、ドラマの演出をしたりする例は少なくない。ただし、「余技」などと言われないレベルのものは決して多くない。

オダジョー久々の連ドラ主演…「数字が取れない男」がナゼ  その意味で、オダギリジョー脚本・演出・編集、さらに出演もしている「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(NHK)は、上々のエンタメ作品に仕上がっている。  

このドラマの「主人公」は警察犬係の警察官、青葉一平(池松壮亮)だ。しかし、「主役」は警察犬のオリバーだろう。一平にはこの犬が人間のおっさんに見えるし、会話もできる。その「おっさん犬」を演じているのがオダギリジョーなのだ。  

抜群の嗅覚で地中の拳銃を発見し、裏社会とつながるキャバクラを摘発する活躍を見せるオリバー。

その一方で、飛び切りの毒舌家にして酒好き、女好きでもある。特に目がない「エロ」はオリバーの原動力だ。若くてキレイな女性の顔や胸元に迫る時のデレデレ顔は、見ていて笑ってしまう。

オダギリジョーの演出には、特異な設定が軽いコントに流れることを拒否する美学と、集めたクセのあるキャストたちに演技の暴走を許さないコントロール力がある。  

またオリバーの造形はもちろん、画面の隅々にまで気を配った美術へのこだわりも含め、作品の世界観を堂々と押し出していることにも拍手だ。  

全3回はあっという間。くれぐれも、この快作を見逃すことなきように!

( 日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!! 」2021.09.22)