碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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週刊朝日で、「女優カトパン」についてコメント

2018年05月01日 | メディアでのコメント・論評


ドラマ進出果たしたカトパンの本気度 
MCの座はタレントに奪われ…

自身の誕生日を迎える前日の4月22日、元フジテレビアナウンサーの加藤綾子(33)が、華々しく連続ドラマにデビューした。嵐の二宮和也主演の「ブラックペアン」(TBS)、朝の連続テレビ小説「半分、青い。」への出演を果たしたのだ。前者は「半沢直樹」に代表される高視聴率の人気枠で、後者は言わずと知れた国民的ドラマ枠だ。

“女優”として最高の滑り出しを見せた加藤だが、本格的な“転身”はあるのか。上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)はこう釘を刺す。

「人気ドラマへの立て続けの出演で順風満帆に見えますが、視聴者は滑っても転んでも、どこから見ても“フジテレビの看板を背負っていたカトパン”として見ています。もしこれで女優としての自信を深めているとしたら、びっくりな勘違いですね」

主要キャストではなく、“限定された”役だからこそ許されていると元テレビプロデューサーの碓井教授は手厳しい。

「演技が多少ひどいとしても、ゲスト出演的な露出だからこそ視聴者は笑って見ていられる。同世代の女優さんはいくらでもいるわけで、彼女である必要はないんです。あくまで話題作りでにぎやかし。朝ドラではアナウンサー役ですし、極端に言ってしまえば、演技を求められていないんです」


一方で、女優業を好意的に見る向きもある。芸能評論家の三杉武氏は加藤の本気度を感じるという。

「出演作が古巣のフジテレビのドラマではなく、所属事務所の先輩のバーターとしての出演でもない。アナウンサーとしての色を避けたかのような選択に、カトパンの本気度を感じます」

その背景には女子アナの仕事が減りつつあることも関係がありそうだ。

「かつて番組MCのアシスタントは主に女子アナの仕事でしたが、最近は小島瑠璃子さんや指原莉乃さんなどのタレントが務めることが多くなってきた。仕事の幅を広げる意味での挑戦とも考えられます」(三杉氏)

女優としては、かつて「スーパー綾子」とも言われた如才なさと好感度の高さが武器になると指摘する。

「女子アナは傾向として、同性から『ぶりっ子』とか『鼻につく』と、支持されないことも多いですが、カトパンは『美貌が完璧すぎて嫉妬する気も起きない』と同性からの支持も高い。転身するなら、印象的な演技で視聴者を納得させられるかが今後の肝です」

華麗なる転身は見られるのか。そのスーパーぶりに期待したい。(本誌・秦正理)


(週刊朝日オンライン 2018.4.30)