『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・不作為の差別意識/黒人少女体操選手への人種差別❷

2023年10月08日 15時13分00秒 | スポーツ

 

82秒間が物語る“差別の真実”

 

 以下は巻末〔参考〕欄に再アップした【動画A】の進行を追いながら、「82秒間の真実」を再検証したものです。筆者個人の感想を交えています。

 ▶0:00~」は、【動画】の「進行time」を指しています。



▶0:00~:【動画】のスタートは、メダル授与者のⒶ女が、「少女にメダルを掛け終えた瞬間を映し出しています。Ⓐ女は次の瞬間、メダルを掛けるべき「黒人少女⑤」をちらっと見ただけでスル―しました。しかしこの時、何か「ひと言」告げたのかもしれません。

 Ⓐ女少女にメダルを掛けている間、少女は、前傾姿勢のとなって見えません(0:08頃)。しかし次に少女の姿が見えたとき、「自分をスル―された」と悟った少女⑤は、Ⓐ女を見詰めています。

0:12~少女少女⑤に「メダル掛けられていない事」に気付き、戸惑いの表情を見せています。『え? 何でこの子はメダルを掛けてもらっていないの? どうして?』とでも言いたげです。これ以降少女の小さな胸のうちには、「メダルを授与しなかったⒶ女への疑念や不信」とともに、「メダルを掛けてもらえなかった少女⑤の恥辱や哀しみ」といったものが、駆け巡っていたことでしょう。

 この0:12頃、左手より「カメラマンのⒷ男」が画面に入り、以降、左画面への出入りを繰り返し、1:06頃に左画面に消えて行きます。この間彼は、少女⑤を全く無視しています。というより、「ことさら他の少女たちの撮影を強調するオーバーな動作」が顕著です。あえて少女⑤に見せ付けるような意図が感じらるのは筆者だけでしょうか。

 彼が少女⑤の置かれた立場と「その張り裂けるような胸の内」を少しでも気遣う気持があれば、間違ってもあのような行動を取るはずはないと思うのですが……。しかもそれが「MEDIAカメラマン」というのですから。

 0:30~少女に特に注目

 一方その間、Ⓐ女は少女⑦の前に歩み寄ってメダルを掛けています(0:15頃)。このときⒶ女少女⑤の方にちょっと顔を向け、何か言葉を発したような気がします。後ろ向きのために顔も口元も見えませんが、ひょっとしたら少女⑤から「何か声がかけられた」のかも知れません。そのような雰囲気が感じられます。画面の少女⑤は正面を向いて苦笑いを浮かべているだけです。


▶0:22~Ⓐ女は薄紫色のレオタードを着た少女⑧にメダルを掛けています。少女⑤は何とも言えない表情のまま、ただ立っています。

 このとき少女は、少女⑤のそのような様子を特に気に掛けているようです。


▶0:28~Ⓐ女少女⑨にメダルを掛け、次の少女⑩にメダルを掛け終えたとき(0:32頃)、ご覧のようにⒶ女の手元のメダルがなくなり、彼女は「足りなくなったメダル」を取りに画面の右端に消えて行きます(0:42~)。


0:30~少女が、少女⑤に何やら語りかけています。周りの喧噪のために、少女⑤少女の口元に耳を近付け、聞き終えたときⒶ女の方に視線をやっています。しかしこの時、少女⑩にメダルを渡し終えていたⒶ女は、「足りなくなったメダルを取りに、画面右手に消えていました。


0:43~が画面に戻ってきた時、少女⑤は一歩前に進み出て両手を身体の前で軽く揃え、あたかも「メダルを掛けてもらう」ために気持を整え、準備をしているようかな雰囲気が感じられます。

 しかしⒶ女はそういう少女⑤のことなど完全に無視しています。というより、少女⑤が自分に「メダルを要求する事」を察知し、いっそう無視しているかのようです。

 その証拠に、できるだけ少女⑤に近付かないようにするためでしょうか。メダルを掛ける順序を、画面右端の少女⑫から少女と逆転させ、ほんの一瞬見えた少女にもメダルを掛けたような雰囲気が感じられます。それを終えたⒶ女は、“そそくさ”と画面右へと消え去ったのです(0:53頃)。


▶1:04~:ポニーテールのⓒ女が左端から画面中央に現れ、右足を何かの上の載せて靴の紐を結び直しているようです。それを終えて真っすぐ立ち上がった彼女は、並んでいる少女たちの様子をさりげなく窺(うかが)うような素振り(そぶり)を見せています。とりわけ少女⑤をそれとなく気にしているような雰囲気が感じられます。

 といってそれは、少女⑤に対する好意的な想いではなく、メダル授与をスル―された少女⑤少女の様子を、より近い位置から確認するかのような意図が感じられますⓒ女はあくまでも、“メダル授与スルーに無関心さを装っています。しかし、ⓒ女が首を傾げてポニーテールの髪を振り払うような仕草に、筆者は少女⑤に対する“突き放したような冷ややかさ”を感じたのですが……。

 なぜなら、もしⓒ女少女⑤少女に好意的であれば、彼女はここで“何らかの行動”を起こしていたでしょう。たとえば少女⑤に、『大丈夫、心配しなくていいのよ。メダルは必ず貰えるからね。』とか『よく頑張ったわね。偉いわ……。』『あとで私と一緒に、メダルを貰いに行きましょうね。』など……語りかけることはできたのではないでしょうか。

 もしⓒ女が、前回筆者が推測したように、GI」すなわち「アイルランド体操協会」のスタッフとするなら、彼女は問題解決へ向けた「キーパーソン」となっていたかもしれません。

 しかし、そうならなかったのは、残念ながら「GI」と言う組織の体質にあるのでしょう。


▶1:12~少女⑦が「手を振った相手」と思われるⒹ女が、「COACH」のロゴを背中にして現れ、スマホで少女⑦を撮影してます。

 そこへⒹ男が現れ(1:19~)、同じようにスマホで撮影をしています。彼の背中の「ロゴ」は(正面でないため)、正確に読み取ることができませんが、「COACH」のような気がします。雰囲気からして、やはりⒹ女と同じ「体操クラブ」ではないでしょうか。



 

  人種差別意識実証する「大人たち」の不作為

 それでは以上「82秒間の真実」から明らかになった「いくつかの事実」を整理してみたいと思います。といっても、もちろん筆者の「個人的な所見」にすぎませんが。

(1)Ⓐ女のメダルスルー事件によって、「もっとみんなで喜び合っている」はずの「メダルの少女たち」が、少女⑤への気遣いのために「受賞の歓びやその誇らしさ」を抑えている。

 それでもごく一部の少女は、ほんのちょっと「歓びを全身で表現したり、隣の子と喜び合ったり」という行動は見られたものの、やはり明らかに「抑え気味」となっている。

(2)少女⑤のために「ただ一人真剣に気遣って何かをささやいた少女」の存在と、その精いっぱいの行動に救いが感じられる。

(3)「MEDIAカメラマンのⒷ男ⓒ女、COACHのⒹ女、その仲間のⒺ男」大人4人各氏による、「人種差別意識を実証する不作為」に驚かされる。それとともに、「姿は見えなく」とも「画面左に居ると思われる大人たち」からの「リアクション」が見られなかったことにも驚かされる。

 それにしても「少女④⑤」の「家族」をはじめ、所属「体操クラブ」のコーチや関係者たちは、どこで何をしているのでしょうか。少なくとも「そのうちの一人か二人の大人」は、メダルの授与を見ていると思われるのですが。はてさて、あの場面とその周辺で、一体何が起きていたのでしょうか。「それらの大人たち」は、どこで何をしていたのでしょうか。どうしたと言うのでしょうか……。

 少女⑤の家族の方々は居ないようですね、もしあの場に居れば、当然、何らかのリアクションがあったはずです。少女⑤の様子からも、家族の存在を感じさせるものは一切ありません。

(4)以上⑴⑵⑶によって、おそらく「少女」の「恥辱や悔しさ」は倍加されたことでしょう。そのような「痛みや苦しみ」の中で、少女⑤はどう対応してよいのか解らないまま、終始落ち着かない様子です。

 ことに他の何人かの少女が、喜びを表現している姿を目にしただけに、その対比は残酷としか言いようがありません。思いもよらない「孤立と不安」を抱え込んだ少女の「戸惑いと哀しみ」とが、痛いほどよく伝わって来ます。

 『何が起きているのだろうか? なぜ私だけが?』……と。しかし、彼女を理解し、庇(かば)おうとする大人は一人としていないようです。「メディア・カメラマン」や「他のクラブのコーチ」等も、少女⑤のすぐ傍を出入りしていると言うのに。

 次回は、Ⓐ女に「メダルの表彰授与」を任せた「GI」すなわち「アイルランド体操協会」という組織に触れたいと思います。

(続く)



 

参考

◆【動画A】黒人少女だけにメダルを渡さない女性。それを指摘しようともしないメディア・カメラマンやコーチ等(1:22=82秒)