『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・2014年福岡都市圏の学生演劇を観終えて:上

2014年12月15日 00時01分59秒 | ●演劇鑑賞

 

  一昨日、12月13日の土曜日、2つの大学演劇部の公演を観た。これによって、今年の “舞台演劇の観劇” は終了となった。ちなみに、11・12月における筆者の「舞台観劇」の実績は、以下の通りとなった。敬称略。

  

.11月1日(土)・夜

  『桜刀』(九州大学演劇部「海峡演劇祭2014参加作品」公演。 ○作・演出/森聡太郎 ○助演/山本貴久)。会場は「関門海峡ミュージアム」(門司港)。

.11月2日(日)・午後

  『パラレルな自分』(九州産業大学演劇部:九州産業大「香椎祭」公演。 ○作・演出/中川優太 ○助演/武下裕耶)。会場は「九州産業大学」構内。 

.11月23日(日)・午前~夕刻

  「5作品」(九州大学演劇部:「学祭」大テント公演)。会場は「九州大学伊都キャンパス」構内。 ※以下、筆者の観劇順。

・『桃太郎』(○作・演出/中山博晶)

・『デイドリーム・ウィズ・パペッツ』(○作・演出/古川綾)

・『あいまいパズル』(○作/兼本峻平、○演出/石川悠眞)

・『錆びた夢の味』(○作・演出/森聡太郎)

・『人形鉢』(○作・演出/石川悠眞)

.12月7日(日)・午後 

   『アルバート、はなして』( 突発性演劇団体 O weh!: ○作/勝山修平(彗星マジック) ○演出/垣内大 )。会場は「秘密基地732シアター」(福岡県糟屋郡)

.12月12日(金)・午後

  『女の一生』(「文学座」公演:○作/森本薫 ○補訂・演出/戌井市郎による ○演出補/鵜山仁)。会場は「博多座」(福岡市川端町)。

.12月13日(土)・午後

  『天使は瞳を閉じて』(福岡大学演劇部「第65回秋季定期公演」:○作/鴻上尚史 ○演出/加藤真梨)。会場は「福岡大学」構内。  

.12月13日(土)・夜

  『ゆめゆめこのじ』(西南学院大学演劇部:「冬季定期公演」 ○脚本/西田大輔(AND ENDLESS) ○演出/宮地桃子 ○助演/高木理咲子、新ヶ江優哉)。会場は「西南学院大学」構内。 

       ☆

  健康な身体で「舞台」を観に行くことができるのは、それだけでありがたいことだ。

   何はともあれ、優れた「舞台」を提供するために日夜、情熱と真摯な努力を惜しまない福岡都市圏の「大学演劇部」や、大学生(OB・OG含む)をメンバーとする「劇団」の関係者各位に敬意と感謝の気持ちを表したい。 

       ☆   

 

.『桜刀』

   本ブログの9日に「演劇評(鑑賞)」の「上」をアップしており、近日中に「次回」をと思っている。

   本作品鑑賞の「上」において述べたことだが、この舞台を “ひとこと” で言えば、洗練された “感性” により産み出された “舞台美術&照明&音響三者のコラボレーション” が、“深い精神性に支えられた役者達の重厚な演技” をいっそう際立たせたということだろう。 

 

.『パラレルな自分』

   「演劇会場」の「天井高」が一般住宅クラスのため、「演劇会場」としてはかなり低い。そのため、ボリューム(音量)過多の「音響」や、「バスドラムの効いたアップテンポのハードな楽曲」が、肝心な役者の声や台詞の魅力を奪いがちだ。「叫び声」が多い “台詞回し”も、同様の弊害となりやすい。

   同部は、いつも “オリジナルな脚本” をとの「ポリシー」を持っているだけに、実に惜しい。正直言って、せっかくの「脚本」や役者の良さが大いに殺がれていることは否定できない。

  

.『デイドリーム・ウィズ・パペッツ』

   「テント小屋公演」は、昨年参加できなかっただけに、今年はとの想いで観に行った。筆者は演目6本中、最後の『エチュード公演』だけは私用により退席した。「5本」については、それぞれに課題が残ったとはいえ、いずれも愉しむことができた。

   総ての作品について語ることはできないが、「作・演出」そして急遽、自ら「出演」した「古川綾」嬢による『デイドリーム・ウィズ・パペッツ』が、特に素晴らしかった。

  筆者の勘違いでなければ、この作品の「公演時間」は、正味わずか12、3分だったのでは? 「公演時間」が短いため、作品をまとめやすかったのは確かだろう。それでも、「作・演出家」の優れた感性や才能の片鱗を、充分窺い知ることができた。

   この作品は「音楽小劇」であり、バレエダンスの要素を採り入れたような振付が素晴ら しかった。残念ながら、筆者はバレエやダンスは非常に疎い分野だ。そうであっても、この作品の優れた一面をしっかりと受け止めることができた。作品の【あらすじ】をそのまま再掲しよう。

  《初めて訪れたサーカスで、少女はマスクを着けた一人の男性と出会う。恋にも満たない少女の感情は、時代を超えて、病床の枕元に夢となって立ち上る。 ダンスやマイムを中心に身体表現に取り組んだ、一風変わった作品です。》

   「この舞台では、「台詞」は一切ない。題名」の「ディドリーム(daydream)」は、この場合「白昼夢」ということだろう。「パペッツ(puppets)」は「操り人形」の意味なのかも。

   病床にある不自由な「少女」の夢の中に、“通過儀礼” 的な “異性への憧れ” が、幻想的なイメージとなって注がれている……そういう “少女の仄かな恋心” は、やがて “大人の女としての愛念” へと育っていく……と言うのだろうか。

   このような作品が、「学園祭」において、さらっと出て来るところが凄い。(続く)