渡辺武著わかりやすい漢方薬
第二章漢方薬はどう診断するか
3 血の道症(血毒症-血証)
高血圧と低血圧の人
俗にヨイヨイという病があります。
有吉佐和子さんの『恍惚の人』という小説を読んだ人なら、いっそのこと早く死んでしまいたいと言いそうな病です。
またの名を中風、いわゆる脳溢血や脳軟化症の後遺症として起る半身不随のことです。
江戸時代の文化・文政のころの落語の一節にも「田舎ものには、よいよいという病はねえぜ、江戸っ子ばかりか、夫れぢゃ江戸っ子の看板だな」という語りがありますが、当時、ヨイヨイは、江戸に多くて田舎にはない奇病でした。
蘭方医書にも、東方百年来の奇病と記録されています。
宝暦のころから、手足がかなわず、もの言うもかなわないことを〝類中〟といい、ヨイヨイというようになったとか。
その語源はともかく、この奇病にかかった人は、貴賎の男女であったと記されています。
お金持ちか貧乏人というわけですが、これは大変に興味深いことです。
金持ちは美食をするので、肥えた高血圧の人が多く、貧乏人はやせでガラガラ、低血圧の人が多かったのではないでしょうか。
その高血圧と低血圧の両極端が、このヨイヨイになったというわけです。
人間の体質には、高血圧と低血圧があります。
よく血圧が低いと、神経痛やリュウマチにかかりやすいといいますが、そうは限りません。
高血圧の人も神経痛やリュウマチなりますし、同じように目まいがしたり、頭痛がするものです。
しかし、高血圧と低血圧では、体質が全然違っているのです。
血圧が高いということは、上半身や脳に充血が多いということだし、血圧が低いということは、血液が上半身や脳に回らないことです。
だから、高血圧の人は、上半身や脳から熱をとる薬をやらなければなりませんし、低い人には、血液循環を円滑にし、温める薬を与えることになります。
ところで、もともと血液の多い人と、少ない人がいます。
血液が多ければ、いつも手が温かくポカポカほてっています。
が、少ない人は、血液が回らなくて貧血気味、手足が冷たくなります。
血圧の高低は、多血症と貧血症に関係が深いのです。
血圧の低い人は血液の量が少なく貧血症の人が多いし、高い人は多血症ということです。
貧血症の人で高血圧という人はいません。
ではいったい、血圧の高低、多血症と貧血症では、病はどのように違ってくるのでしょうか。
脳の病に脳軟化症があります。脳軟化症はたいてい低血圧の人がかかる病気といわれます。
血圧と脳圧は別な問題ですが、普通、高血圧の人の場合は、さしずめ脳出血ということになります。
低血圧の人は、脳の毛細管からチビチビと血液が漏れるわけです。
脳神経が犯されている点では同じことですし、低血圧の人でも、ヨイヨイ、半身不随になります。
つまり、血圧の高低は出血の量が違うということです。
低血圧の人は脳軟化症になり、高血圧の人は脳溢血になりやすいのです。
漢方では、高血圧か低血圧か、多血症か貧血症かによって、熱と冷えに分類しています。
だから、心臓病はもちろんのこと、胃腸病でも肝臓病でも、どんな病気でも、高血圧の人と低血圧の人では病態が違い、投薬される薬が違ってくるのです。
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原文のまま記載しています
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