自燈明

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二一番 素性法師

2014年03月06日 | 百人一首
今来むと言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな

今すぐに来ると言ったものだから、それをあてに待って、とうとう九月の長い夜も更け過ぎて、有明の月の出るまで待ってしまった。

○ 今来むと ― 「今」は、今すぐの意。「む」は、意志の助動詞。「来む」で、「来よう」の意。これにより、作者は男性であるが、女性の立場で詠んだ歌とわかる。「と」は、引用の格助詞。
○ 言ひしばかりに ― 主語は、恋人の男性。「し」は、過去の助動詞「き」の連体形。「ばかり」は、限定の副助詞。
○ 長月 ― 陰暦の九月。晩秋で夜が長い。
○ 有明の月 ― 「有明」は、陰暦で、16日以後月末にかけて、月が欠けるとともに月の入りが遅くなり、空に月が残ったまま夜が明けること。「有明の月」は、その状態で出ている月。
○ 待ち出でつるかな ― 八音で字余り。「待ち」の主語は、自分(女性)。「出で」の主語は、月。「つる」は、完了の助動詞。「待ち出でつる」で、「(あなたを)待っていたら(月が)出てしまった」の意。「かな」は、詠嘆の終助詞。

(そせいほうし)
生没年不詳 遍照の子。平安前期の歌人。三十六歌仙の一人。左近将監に任官した後に出家し、権律師となる。
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