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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

高畑充希が演じる役はなぜ忖度できない若者ばかりなのか

2020-09-06 18:09:45 | 堀井憲一郎

堀井憲一郎 2020年7月 東京ニュース通信社
私の好きなライター、ホリイ氏の新しいものが出たと知ったので、さっそく買って読んだ。
タイトルはなんのこっちゃと思わせて、なかみはそのまんまで、テレビドラマのレビューというか、この女優はこういうところがいいねみたいな話の数々。
なーんだ、とっつきやすそうにみえて実は深い若者文化論でもブッテくれるんぢゃないかと、ちょっと期待したんだが、ちがった。
私はテレビあんまりみないし、特にドラマってほとんどみないから、書いてあることの意味はほとんどわからない。
それでも、ふんふん、そういうものかと、読んでっちゃうんだから不思議なものだ。
だいたいドラマのなかみの前に、俳優の名前と顔が一致しないよ、一部しか。
なかには、あー名前知らないけど見たことある顔だね、ってひともいるけど、ほかのそういう俳優と並ばれたら、もう見分けがつかない。
(悲しいね、若い人の顔の見分けができないのは、そういう認識能力が落ちているかららしいし。)
高畑充希については、私はほとんど知らなかったんで、JRAのCMに出てから顔がわかるようになった程度。
そのお芝居については断片的な映像を見るくらいなんだけど、なんだかやたらと目を丸くするひとだなという印象がある。
本書ではホリイ氏が役によってみせる顔の違いについて、
>ヘアスタイルやメイクだけの問題ではなく、目の力だとおもう。
>おそらく「黒目をどんな状態にするか」ということを意識的に操っていて、それで表情を変えているのだろう。そういう不思議な部分に惹かれていってしまう。
>高畑充希が、2010年代の若者の不安をしっかり引き受けてくれている気がする。(p.18)
なんて言って、ホメている、ホメているんだろうな。
んー、そーかー、きっと同世代の若いひとは、そういう顔をみて、なんか感情の動きを共感できるんだろうな、それでイイと思うんだろう。
現実世界でああいう演技の顔する人と出っくわしたら、私なんかは、自分の思ったことを言葉にできないで変な顔するような奴だな、なんて受け取るんぢゃないかという気がするが。
ところで、全然べつの、有村架純の『中学聖日記』の話題のなかで、ホリイ氏は、
>人の心、恋する心をきちんと描こうとしているので、セリフでの説明が少ない。その表情の変化を追っていかないといけない。いろんな気持ちが言葉では説明されないのだ。たしかに恋愛とはそういうものだろう。
>画面を見ずに音を聞いてるだけでは、肝心の部分をけっこう見逃してしまう。そういうドラマだった。(p.99)
と言って、ホメている、ホメているんだろうな、「とても丁寧に作られていた」って書いてるんだし。
そーかー、表情でなんかしようと思うと、そういう目になるのかなって気がしてきた、私のなかでは新垣結衣という女優さんもやたらと目を丸くする印象があるので、なんかそういうのが流行りなのかなと。
まあ、なんせあまりドラマとか観ないので、よくわかってはいないんだが、なんか人間というよりもアニメのキャラクターの動きみたいな感じするんだけど、そういうのも立派な芸なんだろう、きっと。
人の顔ささておき、ドラマのテーマにふれて、ときどき著者が、
>大人に比べて若者はいろんな部分で劣るかもしれない。
>ただそのまっすぐなおもいは、世界をよい方向へ変える可能性を持っている。(p.74)
とか、
>わが社会のチーム仕事のむずかしさは、責任者はいるものの、強力なリーダーシップを取らないぶん、責任の所在があいまいになってしまうところにある。(略)空気が人を動かしているからだ。(p.80)
みたいな言説をあやつるとき、お、現代のドラマにみる日本社会の課題、みたいな展開を期待するんだが、本書は役者の魅力について語るのがメインなんで、そっちのほうへは行かない。
どうでもいいけど、全体的にパラパラとした感じの本で、いつもに比べたら、なんか改行でページ数増やしてるようにすら見えるんだけど、あとがきによればインターネット記事として書いたコラムが元だということなので、そういう環境だとそうなるのかもしれない。
それでも、ネットで読めと言わずに、紙の本にしてくれるところが私としてはうれしいが。
コンテンツは以下のとおり。
高畑充希が演じる役はなぜ忖度できない若者ばかりなのか
生田斗真の「働いたら負けだ」とおもわせる力
木村拓哉が演じる役には世界を変えてしまう力がある
多部未華子の役どころは、真面目に見られる女子の苦悩を一手に引き受けている
驚くほど幅の広い役を演じるフェミニンな深田恭子の魅力
小芝風花が見せる居場所を与えられない若者の苦悩
ああいう人に私もなりたいとおもわせる吉高由里子の力
ひたすら切なく古風な香り、有村架純の役どころ
二階堂ふみが醸し出す妖しい世界
石原さとみの演じる役は、なかなか幸せにはなれていない
戸田恵梨香の「どんな役でもやれる」という役割
新垣結衣が演じる役は、世界を明瞭にして、すべてを受け入れる
綾瀬はるかの役柄は「自己肯定していく力」が魅力
配役を通してこれからの大河ドラマを考える
注目度が半端ではない朝ドラヒロインの世界

…って、驚いた。私の使ってるパソコンの日本語入力・漢字変換はバカでちっとも学習しないんだけど、上記の俳優の名前の部分だけはすべて一発で正しく変換した。
「ふみ」とか「さとみ」とかはムリヤリ漢字当ててきそうなものをサラッと仮名で返してきたし。
「辞書に載ってる名前」ってことなの?


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