とり・みき 1993年 青林堂
最近買った古本、ときどき無性に読みたくなることがあるんだよね、とり・みきのマンガ。
短編集なんだけど、短いものは1ページ、長いものでも10ページくらいのギャグマンガを、いろいろ並べ替えてつなぎあわせたようなつくりになってる単行本。(メガミックスというらしい。)
読みだしたら途中で休むことなく最後まで読んでかなきゃしゃあないなあというノリではある。
一読したなかでのお気に入りは、たとえば「螺子」。
「突然だが おとーさんは会社をやめて これからネジをはずして生きていこうと思う」と父親が家族の前で宣言、毎日ネジはずしだけをしていく。
で、ネジはずしの達人に奥技の教えを乞いに行くと、「わしは見てのとおり ただの冬に水まきするのが好きな迷惑な老人 お引きとりくだされ」なんて断られるんだが、そういうやりとりが思わず笑ってしまう。
それから、連作の「シロクマ」「象」「カンガルー」。
ぬいぐるみを作るんだが、師匠に「魂が入っておらん」とか言われて、本物のシロクマとか象とかカンガルーを求めて旅に出る。
それはいいけど、シロクマさがしに四国へ、象を探しにアメリカ西部へ、カンガルー探しに中国へ行ったりする見当違いなことすんのが、妙におもしろい。
あと、「最後の忍者」では、ずっと前に読んだ四方田犬彦の『漫画原論』で引用されていた、
「ふふふ こんなこともあろうかと 常にわしの影の中にひそませておいた……」「堺のポルトガル人よりせしめた よく陽灼けした人なのだ!!」
っていうバカバカしいセリフのコマをついに実際にみることができて、ちょっと感激した。
しかし、何をどう書こうとしても、ギャグマンガのおもしろさを説明するのはムリですな、実際読んでみて、それでもツボにはまるかどうかはその人次第だし。
コンテンツは以下のとおり。
本屋(1)
オリンピック(1)
悪魔ッ子
唄う人
お父さんの失敗
シロクマ
オカルト(1)
螺子
本屋(2)
オリンピック(2)
JUNGLE LOVE
西瓜
最後の忍者
オリンピック(3)
増殖の谷
オカルト(2)
痛快エレキ侍(エジプト商人の秘密)
さよなら夏の日
オリンピック(4)
象
気力の日
穴
オリンピック(5)
続・対策本部の長い一日
オカルト(3)
本屋(3)
太陽の塔
オリンピック(6)
続・お父さんの失敗
濃霧の人
オカルト(4)
カンガルー
CHRISTMAS IS ALWAYS CHANGIN’
でもなく
オリンピック(7)
オカルト(5)
サエキさんの午後
玉
オリンピック(8)
もう安心
オリンピック(9)
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