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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

見晴らしガ丘にて

2023-08-24 19:19:00 | マンガ

近藤ようこ 昭和60年 実業之日本社
このマンガはずっと気にして探してたんだが、ことし5月だったか古書フェアで見つけたんで買った。
たしか文庫本も出てるはずなんで、そっちでいいはずのつもりだったが、これ見つけたらオリジナル単行本だろと思うと、欲しくなってしまった。
近藤ようこさんはいくつか読んだんだけど、これが気になってたのはたしか『怪奇まんが道 奇想天外篇』を読んでたら出てきたからのはず。
ところが、なんせ気づけば5年も前のことなんで、自分でも何が気になったのか忘れてたくらいだから、今そっちを見直してみた。
そしたら、売れないころの著者のところへある日突然「週刊漫画サンデー」編集部から電話かかってきて、畑中純の推薦あって描いてくれ、と頼まれて昭和59(1984)年から初の連載として描いたと。
そしたら、新聞の書評欄で糸井重里が「向田邦子さんが漫画を描いたら近藤ようこさんのマンガのようになるだろう」って推薦してくれたと。
面識のない著名人に応援されたっていうし、初連載には著者のギュッと詰まった何かがあるだろうし、みたいなとこの興味から読んでみようと思ったんではないかと思い出した。
長編なのかと思ったら短編集でした、だいたい舞台が見晴らしガ丘ってとこらしいけど各話に直接のつながりはなし。
(なお、タイトルの見晴らしガ丘の「ガ」の字はほんとは小さい字(「ヶ」のように)なんだけど、パソコンの変換で出ない。)
見晴らしガ丘ってのは東京近郊の私鉄沿線みたいで、そこで生活してる庶民を描いた話、昭和59年なんでね、当時の団地とかアパートとかって感じですね住んでるとこが。
主人公はたいがい女性で、主婦のときもあるし未婚の若いひとのときもある。
子どもできたんで結婚はしたけど、なんか人生先が見えちゃってるななんて思ってる主婦の、隣人は親子ほど年の離れた若い女子大生と再婚してるんだけど、ある日そこに前の奥さんが訪ねてきて親権がとか養育費がとかって話でゴタゴタしてるのが耳に入ってきちゃって、去り際に廊下で「あなた、おしあわせ?」とか言われるのが妙に突き刺さっちゃった話とか、日常のなかのちょっとしたドラマみたいな。(「となりの芝生」)
一読したなかで私が気に入ったのは巻頭作の「初恋」かな、骨折した妻の見舞いに病院に通う老人が、同じ病室のもうひとりの入院患者の名前が初恋の女性と同じということに気づき、大正時代の青春を思い出したりすんだけど、最後までカーテンの向こうの同室の患者の顔を見る機会はなかった、妻は無事退院っつー感じの話、劇的再会を果たしちゃったりしないとこがかえっていいような気がする。
収録作は以下のとおり。
初恋
GAL’S LIFE
ママ…DORAEMON
かわいいひと
HAPPY BIRTHDAY
となりの芝生
プレゼント
なつめ屋主人
ご相談
耳飾り



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