アガサ・クリスティー/福島正実訳 昭和54年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
たまには読み返してみようという、推理小説。
持ってるのは昭和61年の10刷。
でも、読んだときの記憶、なんにもないなあ。
もうちょっと前の時期に読んだホームズや、幼いとき読んだ明智小五郎なんかは、何度も読み返したから、スジから場合によってはディテイルまでおぼえてたりすんだけど、このあたりで読んだ推理小説は一度きりというものが多くて、ぜんぜん忘れてる。
原題は、「LORD EDGWARE DIES」で、そのまんまなんだけど、エッジウェア男爵は殺人事件の被害者。
ポアロへの依頼人は、エッジウェア卿夫人、ジェーン・ウイルキンソンという名で、元女優。
ただし、依頼内容は、殺人の起こる前で、離婚に同意するよう夫を説得してほしいというものだった。
ポアロは弁護士ぢゃないし、そんな案件の交渉は専門外なんだけど、興味をもったので引き受けた。
で、このエッジウェア卿夫人ってのが、おもしろい。私がここまで読んだクリスティーのキャラのなかで最高傑作。
なんせ自己中心、自由奔放極まりない、他人にノーと言われることなど考えたことがない、いー性格をしている。
そもそも今回の離婚を持ち出したのだって、べつの侯爵と結婚したいからというワガママぶり。
その言い方だって、「想像してもごらんなさいな、実現した時のセンセーションを―」という自己陶酔チックなものだから、かなわない。
そんなだから、事件の起こる前から、「死んでくれたら、結局一番いいのです。そうすれば、もう、なんの憂いもなく彼から自由になれるのですから」なんて堂々と言ってて、犯人ぢゃないかと疑われることになる。
夫がホントに殺害された後でも、「私考えてました―最近、本気で考えてましたの―夫が、ひょっと死んでくれないかしら。そうしたら―夫は死んでしまいました。まるで―私の祈りがかなえられたように」なんて淡々と言う。
犯人が誰か気にならないのかと問われても、「それがなんですの? 私になんの関係があります?」とクール。
そんなことより、未亡人らしくみえる装いをつくるために、姿見に自分を映しては恍惚とした表情をしてるってシーンは、とても印象的。
で、ポアロには用がなくなったようだけど、行きがかり上、事件の真相を追うことになる。
>(略)これは服をえらぶのと似ている。ほら、これが合うかな? いや、どうも肩のところがシワになるようだ。じゃ、これかな? うむ、これならいい―が、少し身体が窮屈だ。このもひとつの方は小さすぎるし―うんぬん、という具合にね、完全にぴったり合うやつ―すなわち真相にぶつかるまでやってみるのさ」
という考え方で、真犯人にせまっていく。
たまには読み返してみようという、推理小説。
持ってるのは昭和61年の10刷。
でも、読んだときの記憶、なんにもないなあ。
もうちょっと前の時期に読んだホームズや、幼いとき読んだ明智小五郎なんかは、何度も読み返したから、スジから場合によってはディテイルまでおぼえてたりすんだけど、このあたりで読んだ推理小説は一度きりというものが多くて、ぜんぜん忘れてる。
原題は、「LORD EDGWARE DIES」で、そのまんまなんだけど、エッジウェア男爵は殺人事件の被害者。
ポアロへの依頼人は、エッジウェア卿夫人、ジェーン・ウイルキンソンという名で、元女優。
ただし、依頼内容は、殺人の起こる前で、離婚に同意するよう夫を説得してほしいというものだった。
ポアロは弁護士ぢゃないし、そんな案件の交渉は専門外なんだけど、興味をもったので引き受けた。
で、このエッジウェア卿夫人ってのが、おもしろい。私がここまで読んだクリスティーのキャラのなかで最高傑作。
なんせ自己中心、自由奔放極まりない、他人にノーと言われることなど考えたことがない、いー性格をしている。
そもそも今回の離婚を持ち出したのだって、べつの侯爵と結婚したいからというワガママぶり。
その言い方だって、「想像してもごらんなさいな、実現した時のセンセーションを―」という自己陶酔チックなものだから、かなわない。
そんなだから、事件の起こる前から、「死んでくれたら、結局一番いいのです。そうすれば、もう、なんの憂いもなく彼から自由になれるのですから」なんて堂々と言ってて、犯人ぢゃないかと疑われることになる。
夫がホントに殺害された後でも、「私考えてました―最近、本気で考えてましたの―夫が、ひょっと死んでくれないかしら。そうしたら―夫は死んでしまいました。まるで―私の祈りがかなえられたように」なんて淡々と言う。
犯人が誰か気にならないのかと問われても、「それがなんですの? 私になんの関係があります?」とクール。
そんなことより、未亡人らしくみえる装いをつくるために、姿見に自分を映しては恍惚とした表情をしてるってシーンは、とても印象的。
で、ポアロには用がなくなったようだけど、行きがかり上、事件の真相を追うことになる。
>(略)これは服をえらぶのと似ている。ほら、これが合うかな? いや、どうも肩のところがシワになるようだ。じゃ、これかな? うむ、これならいい―が、少し身体が窮屈だ。このもひとつの方は小さすぎるし―うんぬん、という具合にね、完全にぴったり合うやつ―すなわち真相にぶつかるまでやってみるのさ」
という考え方で、真犯人にせまっていく。