E・S・ガードナー/中田耕治訳 1959年 ハヤカワ・ポケット・ミステリ版
できるだけ順番に、あるだけ読みかえしてる、ペリイ・メイスンシリーズ。
飛行機や新幹線の移動のなかで読むのに丁度いいというのは、むかし読んだときと変わらぬ感想。
持ってるのは1990年の6版。原題は「THE CASE OF THE BURIED CLOCK」
依頼人はミスタ・ヴィンサント・P・ブレイン、銀行家でデパートの所有者、ふたりいるうちの上の娘の、夫が殺された事件を持ち込んできたんだが。
被害者は義理の息子ということで働かせてやってたら、銀行のカネを横領したとんだ食わせものだという。
ありふれた事件には興味を示さないメイスンだけど、殺人の行われた別荘の近くに、箱に埋められた時計がみつかり、二十五分遅れて動いていたという話を聞き、謎を解くため乗り出す気になる。
メイスンは、この時間のずれは恒星時をあらわしているという見解をだすが、誰が何のためにそんな時計を持ってて、箱に入れて埋めたかって肝心なところはわかりっこないので、事件は混乱する一方で解決には向かわない。
そうこうしてるうちに、依頼人の娘である被害者の妻が逮捕され、裁判に舞台は移る。
>私はその質問に異議を申したてます。それは議論のための議論に亙ることになります。それは弁護士に代って彼自身の証人を反対訊問しようとする企図です。それは証人に結論をくだすことを要求しています。
とか例によってがんばるメイスンはかっこいいんだが、どうにも情況は不利。
それに相手になっている、新任の「法律の旋風」「十件のうち九件までは有罪にしてしまう」地方検事のマックネアは、なかなか手ごわい。
弾丸をとりだしたのを見たという証人に、メイスンが「とり出したのではなく、置いたところを見たのではないか」と反対訊問する、いつもの手段を承知のうえで、そう仕向けることで検察有利にしようとしたりする。
敗色濃厚だったメイスンは、午後の閉廷から翌日までのあいだに、新しい証拠を探し出すことをひらめくんだが、そのときに関係者の留守宅に忍び込むという、いつもながらの危ない橋をわたる方法をとる。
「それは押し入り強盗の部類になるんじゃない?」と訊く秘書のデラに対して、メイスンの
「ぼくがその家の持主の委嘱を受けて、彼の暗黙の許可を受けていると考えられる事実から見れば、強盗の企図なるものは技術的な問題だね」
という答えが秀逸だと思う。
できるだけ順番に、あるだけ読みかえしてる、ペリイ・メイスンシリーズ。
飛行機や新幹線の移動のなかで読むのに丁度いいというのは、むかし読んだときと変わらぬ感想。
持ってるのは1990年の6版。原題は「THE CASE OF THE BURIED CLOCK」
依頼人はミスタ・ヴィンサント・P・ブレイン、銀行家でデパートの所有者、ふたりいるうちの上の娘の、夫が殺された事件を持ち込んできたんだが。
被害者は義理の息子ということで働かせてやってたら、銀行のカネを横領したとんだ食わせものだという。
ありふれた事件には興味を示さないメイスンだけど、殺人の行われた別荘の近くに、箱に埋められた時計がみつかり、二十五分遅れて動いていたという話を聞き、謎を解くため乗り出す気になる。
メイスンは、この時間のずれは恒星時をあらわしているという見解をだすが、誰が何のためにそんな時計を持ってて、箱に入れて埋めたかって肝心なところはわかりっこないので、事件は混乱する一方で解決には向かわない。
そうこうしてるうちに、依頼人の娘である被害者の妻が逮捕され、裁判に舞台は移る。
>私はその質問に異議を申したてます。それは議論のための議論に亙ることになります。それは弁護士に代って彼自身の証人を反対訊問しようとする企図です。それは証人に結論をくだすことを要求しています。
とか例によってがんばるメイスンはかっこいいんだが、どうにも情況は不利。
それに相手になっている、新任の「法律の旋風」「十件のうち九件までは有罪にしてしまう」地方検事のマックネアは、なかなか手ごわい。
弾丸をとりだしたのを見たという証人に、メイスンが「とり出したのではなく、置いたところを見たのではないか」と反対訊問する、いつもの手段を承知のうえで、そう仕向けることで検察有利にしようとしたりする。
敗色濃厚だったメイスンは、午後の閉廷から翌日までのあいだに、新しい証拠を探し出すことをひらめくんだが、そのときに関係者の留守宅に忍び込むという、いつもながらの危ない橋をわたる方法をとる。
「それは押し入り強盗の部類になるんじゃない?」と訊く秘書のデラに対して、メイスンの
「ぼくがその家の持主の委嘱を受けて、彼の暗黙の許可を受けていると考えられる事実から見れば、強盗の企図なるものは技術的な問題だね」
という答えが秀逸だと思う。
