昨日のブログに夕焼けの記事を書いて、このところ私は「自然」にやたら心が
向かっていることに気が付いた。
夕方、戸塚の催事場にメンテナンスに行ったとき、文庫本売り場で1冊のタイトルが目に入った。「生きるぼくら」著者は、あの「楽園のカンバス」の原田マハだ。買い求め、一気に読んだ。
いじめと、両親の離婚から引きこもりになった24歳の青年が、お米作りを通して再生していく…、と、簡単に書いたらそんな話なのだが、登場人物がみんなかっこいい大人で、八ヶ岳を望む蓼科で繰り広げられるドラマに、涙を何度もぬぐった私。
その蓼科に住む祖母は、昔ながらの製法で、お米作をしている。あるきっかけ
で、その地を訪れた主人公は、祖母が認知症になっていることを知る。
地域の人たちのあたたかな人柄の描写も心地よく、何よりもお米作りの細やかな,まるで神にささげる如くに作業する稲作そのものに、改めて感謝の念を深くした。
日々、何気なくいただくお米に「ありがとう」と素直に言いたい気持ちだ。
認知症の母を7、8年通いの看護をした私だが、今でも時折「あれでよかったのか」、こうすればよかったかも…、と思うことがある。
いや、愛する人に、その時できることを精一杯やってきた、でいいと思うようにする。きっと母もわかってくれていたと思う。
話を戻しましょう。「生きるぼくら」ステキな1冊です。
お米はもちろん、きゅりや茄子、カボチャしか作った事のない私が、春になったら「農作業したい!」と思ってしまうほど魅力的な自然の中の暮らし。
綾なす人間関係もミステリーじみていて、読みごたえがあります、是非。
「生きるぼくら」 原田マハ 徳間文庫