「恋は美しい誤解と錯覚」
これは私の持論です。知人の一人は「身もふたもない」と言い、
もう一人の知人は「名言!」と膝を打った。
コトコト、ドキドキ、ワクワク・・・、
恋がもたらす心の躍動や戸惑いは、例えようのない物です。
初恋は13歳。同級生の一人の男の子の姓が夏休み明けに変わった。
両親が離婚して、母方の姓を名乗るようになったと先生は言った。
おまけに新しい姓を黒板大きくに書いた。それが、まるでやさしさであるかのように・・・、
私は意味がよく理解できなくて、男の子の顔も見れなくて、教室の窓から白い真昼の月を見ていた。
それからの「彼」は急に大人びた様子になった。
ある日、下駄箱で新しいその名前を目にした時、喉の奥の、少し下がツーンと熱くなった。
その人の名前をノートいっぱいに埋めつくし、朝を迎えたこともあった。
結局、会話すら交わすこともなく、私の片思いは、中学卒業とともに終わった。
あのですね、一クラス50数人、12クラスありました。
とにかくすごかったのです。団塊の世代。
風が強い夜半です。
不意に、初恋の記憶が・・・、何故でしょう。