12月に入ると、ご近所で庭師を入れているお家が目につく。
「大変なのよ!」と皆さん口をそろえて仰るのはお値段。
技術者だから仕方ないと思う。
やはり綺麗に手入れの行き届いたお庭は気持ちの良いものです。
幸か不幸か、庭師を頼む家に済んだことがない。
実家の庭は猫の額程度だが、父が生きていたころは季節の花で埋まっていた。
本当に花が好きだった。退職してからは近所の空き地を借りて野菜造りに励んでいた。
ここまで書いて思わず『お父さんごめんなさい』と、重たい吐息と共に言葉を発した。
ブログに母はたびたび登場するが、父はまずない、なかった。
父の思い出は、何時も母の後ろに隠れている。
本当に父には心配のかけどうしで、何にも親孝行らしいことはしなかった。
昔の男親はみんなそうだったのか、面と顔を突き合わせ娘と話し込むことなどなかった。
だからこそ、父が折々に語った言葉は、深く心に残っている。
幼いころは「本は繰り返し読みなさい、2度3度読むうちに、必ず新しい発見がある」
20代、仕事に行き詰まリ、夜遅く仕事場から母に泣きながら電話をしたことがあった。
母はただ優しく相槌を打ちながら聞いてくれていた。
その時突然受話器の向こうから父の声がした。
「大丈夫、久美子はできるから、大丈夫だから!」
その声は力強く、自信に満ちていた。
普段、父からそんな言葉をかけられたことがなかったから、
変な話、とても新鮮で嬉しかった。
66歳という若さで亡くなってしまった。
最後に私にかけてくれた言葉は、
「こんな病気に久美子がならないよう守ってあげるから・・・」
お父さん、ありがとう。