鎌倉徒然草

鎌倉に住んで25年。四季折々の自然を楽しみながら、オリジナルの和雑貨の企画、製造、販売を展開しています。

金魚

2014年08月28日 | 日記

幼いころ金魚をよく飼っていた。

大体、縁日ですくってきたものが多かった。

いや、金魚屋さんといって、下町にはリヤカーに沢山の金魚を積んで売り歩いていたおじさんもいた。

いずれにしても、隣近所、向こう三軒両隣には、金魚鉢の一つや二つ玄関や居間にあった。

小学2,3年の頃、クラスで飼っている金魚を夏休み預かった事があった。

たしか5,6匹だったと思う。夏休みの真ん中あたりで、その中の一匹が死んでしまった。

突然のことで、私は悲しみとうしろめたさで胸がつぶれそうだった。

両親は「生き物だからしょうがないのよ」といい、先生に手紙を書きなさいと言った。

その日のことだったと思う。隣の印刷やさんのおばさんが来て、

「ほら、この子でも入れとけばいいのよ」と、両手から一匹の金魚を差し出して、

私の水槽に放った。母から私の様子を聞いたのだろうか・・・、

金魚の背格好(?)は確かに似ていた。

その新入りは、もう何年も前からそこでそうしていたように、やけにゆっくりと水の中を泳いでいた。

休み明け、私は「金魚の死」を誰にも告げずにいた。

初めて秘密を持った夏だった。




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