京急の快速電車の扉が閉まろうとしていた。
私は急ぐ旅でもないのにダッシュ。ギリギリだった、と思う。
背中で扉が閉ったのと同時にわたしの肩をたぐりよせた人がいた。
勿論知り合いではない。40代の(おそらく)女性。
車内にその人の中学生ぐらいのこどもが2人、私の前にすべり込んだ。
どうやら、私は2人の子供と一諸に「お母さん」の介添えで快速に乗れたようだ。
不思議な気がした。とっさのその手のぬくもりがやけに沁みた。
その女性は私と目をあわせることもなく、2人の子供をうながして隣りの車両へ。
ふくよかで、お化粧気の無い横顔は何とも素敵だった。
きっと『母性』、そうなのですね。温かい、ひと時の体験。