『紀子の食卓』(2006)
園子温監督、吹石一恵さん、つぐみさん、光石研さん、吉高由里子さん、宮田早苗さん出演。


【STORY】
田舎に住む17歳の平凡な女子高生・島原紀子は、家族との関係に違和感を覚えていたが、ある日インターネットのサイト「廃墟ドットコム」を知る。彼女はそこで知り合った女性を頼って東京への家出を敢行、「レンタル家族」という虚構の世界で生きていくが…。
同監督の作品『自殺サークル』(2001年)のノベライズを依頼されたが、出版社から好きに執筆してよいということで書かれた『自殺サークル 完全版』が原作となっており、その後の世界が舞台となっている。正式な続編ではなく、単体でも問題なく鑑賞できるようになっている。(Wikipediaより)
【感想レビュー】
先日『自殺サークル』を観たのですが、作品の内容などを調べないで観る事が多いので、劇中に『自殺サークル』のシーンが出て来た時は、こういう風に繋がるのか!!…と衝撃的な思いでした。
問題提起の要素が強かった『自殺サークル』に対して、本作が応答しているように感じました。
前作では、“あなたはあなたの関係者ですか?”
だったのが、
本作では、“私は私の関係者ですか?”になっていき、さらに核心に迫っています。
それを探るモチーフに、なんとレンタル家族が使われるわけです。
2006年当時の世相を反映しているのでしょうが、やはり震災前という事で、今とは違う空気だと思います。
一見、どこにでも居るような幸せな家族なのに、何かしっくりこない感覚を娘達は持っている…。
父、母、娘達…。
人間は結局、どんな立場であれ、それぞれが、それぞれの役割を生きていかなければならない。
でもそれは、なかなかに難しい事であって、結局は上手く出来ない…。
すると綻びが生じ、酷くなるとその人間関係を遂行していく事が堪らなく窮屈になっていく。
新しい風を感じたくなる…。
それならばいっその事、役割として演じ切れば、それは裏も表もないから嘘ではない。
だからもう、そうしちゃえば?
位な勢いなのです…。
同じようなテーマの作品は多々ありますが、本作は鋭角に抉ってきます…。
ラストも、とっても納得のいくものでした。
こうして園子温監督作品をいくつか観て行くと、その概念やそれを表現する為の構図や全体のバランスが、作品の隅々まで完璧に構築されていて、魅入ってしまいます
ここまで完璧に創り込む監督だからこそ、『地獄でなぜ悪い』のラストは、やっぱり本当に素晴らしく誠実だったなぁと、改めて思いました!
園子温監督、吹石一恵さん、つぐみさん、光石研さん、吉高由里子さん、宮田早苗さん出演。
【STORY】
田舎に住む17歳の平凡な女子高生・島原紀子は、家族との関係に違和感を覚えていたが、ある日インターネットのサイト「廃墟ドットコム」を知る。彼女はそこで知り合った女性を頼って東京への家出を敢行、「レンタル家族」という虚構の世界で生きていくが…。
同監督の作品『自殺サークル』(2001年)のノベライズを依頼されたが、出版社から好きに執筆してよいということで書かれた『自殺サークル 完全版』が原作となっており、その後の世界が舞台となっている。正式な続編ではなく、単体でも問題なく鑑賞できるようになっている。(Wikipediaより)
【感想レビュー】
先日『自殺サークル』を観たのですが、作品の内容などを調べないで観る事が多いので、劇中に『自殺サークル』のシーンが出て来た時は、こういう風に繋がるのか!!…と衝撃的な思いでした。
問題提起の要素が強かった『自殺サークル』に対して、本作が応答しているように感じました。
前作では、“あなたはあなたの関係者ですか?”
だったのが、
本作では、“私は私の関係者ですか?”になっていき、さらに核心に迫っています。
それを探るモチーフに、なんとレンタル家族が使われるわけです。
2006年当時の世相を反映しているのでしょうが、やはり震災前という事で、今とは違う空気だと思います。
一見、どこにでも居るような幸せな家族なのに、何かしっくりこない感覚を娘達は持っている…。
父、母、娘達…。
人間は結局、どんな立場であれ、それぞれが、それぞれの役割を生きていかなければならない。
でもそれは、なかなかに難しい事であって、結局は上手く出来ない…。
すると綻びが生じ、酷くなるとその人間関係を遂行していく事が堪らなく窮屈になっていく。
新しい風を感じたくなる…。
それならばいっその事、役割として演じ切れば、それは裏も表もないから嘘ではない。
だからもう、そうしちゃえば?
位な勢いなのです…。
同じようなテーマの作品は多々ありますが、本作は鋭角に抉ってきます…。
ラストも、とっても納得のいくものでした。
こうして園子温監督作品をいくつか観て行くと、その概念やそれを表現する為の構図や全体のバランスが、作品の隅々まで完璧に構築されていて、魅入ってしまいます

ここまで完璧に創り込む監督だからこそ、『地獄でなぜ悪い』のラストは、やっぱり本当に素晴らしく誠実だったなぁと、改めて思いました!