『俳句入門』の「冬の水一枝の影も欺かず」
残りの説明の部分は以下の通りです。
《 この句のよさは、単一化による緊張のよさである。それは俳句表現の最も生命的なはたらきである。それから「冬の水」といい、「一枝」といって、それがどういう場所にある冬の水か、何の木かという具象に触れず、抽象でいいつつ、「影も欺かず」で具象的に定着させたはたらき、そのため一句が瑣末的なわずらわしさを排して、きわめて必要な部分が強調されていることなども注意されてよい。これもまた、俳句表現のはたらきのひとつとしての省略を採りあげたことである》
俳句の題材について。
《 俳句の題材は、こんこの句のようにすぐわれわれの手の届く、身近なところに、見馴れた景として、景として、いくらでもころがっているということだ。そしてそれは、一見平凡なものに感じられ、そんなものは俳句にならないとおもわれそうだが、決してそうではなく、平凡に見えるのは見る方が平凡に見るので、この句のように、非凡な句ができるということを考えさせられるのである。》
そして、《 ちなみに、この句は中村草田男の作品である。》
と結んでいます。