去年と今年と、様々なセミナーでヨーロッパ(特にDog Actuallyでおなじみのデンマークのヴィベケ・リーセ先生や、スウェーデンの藤田りか子先生)のお話を伺うチャンスがあって、とてもエキサイティングだったと共に、また日本との犬事情の違いに愕然とする部分が正直ありました。
ルビーと私のお気に入りの散歩コース♪
特に藤田りか子先生の講義で伺う倫理観の高いスウェーデンの犬事情は、日本に住む私から見ると別世界の様に感じてしまいます。
日本の家庭に迎えられる犬達の多くは、幼齢期を健全な環境で過ごしてきていません。
ほとんどの犬達がペットショップを経由して家庭に入るからです。
ペットショップに陳列(という言葉は嫌だけれど)されるまでに卸しを経由し・・・ということを考えると、生後数週間で親元から離されているはずです。
生後数週間・・・まだまだ母犬や兄弟犬の温もりや教育が必要な時期だと思いますが、そんな子犬達が母犬から離されショップに陳列され、ガラス越しに人目にさらされるわけです。
このことは、犬達の精神の安定や健全な成長の妨げにはならないだろうか。
ペットショップでの生活空間は果たして犬の習性にかなったものかな?
頼れる存在を失った子犬が人の視線をよける事もできない状況は恐怖ではないだろうか。
トイレが寝床のすぐ近くで、犬の本能とはかけ離れた生活を強いられたりしてはいないか。
思う存分お腹いっぱいご飯が食べられているかな?
匂い取り中♪
世の中にはペットショップに卸す子犬を産むためにだけ存在し、汚れたケージの中でネグレクト状態で生かされている犬もいます。
8終齢経過していない子犬はペットショップで販売できないことになりましたが(8終齢規制)、
もしその期間そんなネグレクト状態の母犬と一緒にいたとしても、狭いケージの中で糞尿まみれの生活を強いられるのであれば、健全な精神が育まれるはずもありません。
成熟した健全な親犬の元で子犬が得られるはずだったものを、日本では飼い主が母犬の代わりになって与えてあげなくてはならない現状があるのですよね。
だから犬が家庭に入る時、その犬達の状態が日本とヨーロッパでは違いすぎるのではないだろうか。
そう感じずにはいられないのです。
(これは勿論犬が悪い訳ではありません。)
チャーリードッグスクールの夏目真利子先生の著書「私は社会化のドッグトレーナー もう、バカ犬なんて言わせない」にはこんなくだりがあります。
『深刻な咬み付きの場合、第一は犬の心のリハビリを考えましょう。
これは叱らない、飼い主さんが安心できる存在でいる、しっかりくつろげる飼育環境を見直す。
まずこれをお願いしたいです』
(p.35)
心のリハビリ・・・。
咬みの問題がなくても家庭に迎えられる全ての犬に必要なことだと思います。
保護犬などはもちろんのこと、ペットショップなどを経由してきた犬達は特に必要な気がしています。
まずはここ。これを抜かしてしまっては何も始まらない。そんな風に感じます。
(だから”古典的条件づけ重視のトレーニング”が重要になってくるのだと思っています。)
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今日チャーリーママさんがシェアして下さっていたサイトを私もリンクします。
オランダの犬事情についての記事です。
『動物先進国と日本 一人ひとりの意識の違い』
http://bullio.jp/tsunagu/column/column1a.html#para1
この記事を読みながら、犬や猫を商品として陳列して販売することに疑問を感じる人間がもっと増えなければ、その先に望まれるアニマルポリスも、殺処分ゼロの保護施設もペットと一緒に入居できる老人ホームも、健全に機能しないのではないだろうか。
そんな風に思いました。
形だけ真似すると、必ずどこかに歪みが生まれてくると思います。
もっと根本的なもの。命に対する意識が変わって行くことがこれからの私達の社会に望まれることなのではないでしょうか。
※参考記事
「完全ブリーディングコントロールで犬の殺処分ゼロへ!」セミナー感想
http://blog.goo.ne.jp/kaedekko/e/7b009f8c9af4249be760d84646225ec1